平成21年度は、研究実施計画に沿って、伊豆国内浦地方と信濃国松代藩領の史料調査を集中的に進めた。 内浦地方については、平成21年9月20日~9月23日と平成22年3月12日~3月14日に現地調査を行った。調査においては、長浜村大川家、重寺村秋山家、三津村日吉家(いずれも現沼津市)の三家を対象として、自宅に保存されている近世から近代の古文書について日録作成・封筒詰め・写真撮影等を行った。大川家と秋山家については調査を終了し、日吉家についても平成22年度の調査終了の目処をつけることができた。調査においては、近世漁村の生業交流に関する重要史料を多数発見・写真撮影することができ、平成22年度以降の本格的な分析・研究の基礎固めをすることができた。 松代藩領については、平成21年10月17日~10月18日に丹波島村(現長野市)柳島家の現地史料調査を実施し、同家所蔵の近世から近代の古文書の目録作成・封筒詰め・写真撮影等を行った。調査においては、近世農村の生業交流に関する重要史料を多数発見することができ、平成22年度の調査終了の目処をつけることができた。 また、平成21年10月23日~10月25日には、平成22年度の本格調査に向けて、阿波国麻植郡の予備調査を行った。調査では、徳島県立文書館や三ツ木村(現美馬市)三木家などにおいて、中世・近世の山村における生業交流に関する重要史料を多数発見し、一部はデータ収集することができた。平成22年度以降の本格的な調査・分析に向けて、確実な足がかりを築けたといえる。 さらに、東京都においては定期的に研究会を行い、調査で得られた情報の共有化と研究の進展を図った。
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