研究課題
今年度は2回の研究会議を開催した。7月19日には新井の研究報告「西南戦争と竹橋事件」を、11月28日には落合の研究報告「西南戦争と延岡」を受けて議論を行い、あわせて調査計画を確認した。科研メンバー全体で行った調査は、11月28日に明治大学博物館所蔵の延岡内藤家文書調査、および3月22日~24日には、熊本県阿蘇地域、大分県および宮崎県の調査である。延岡内藤家文書は現在整理中の部分もあるが、整理済み分と整理中の部分をあわせて調査し、西南戦争期の延岡隊関係文書、日記類を確認した。これらの中から必要なものを撮影し、復刻を計画している。3月の九州地域の調査では、大分県文書館・先哲資料館において関連文書の調査を行い、宮崎県では宮崎県文書センターにて調査を行った。大分県の資料館では少数ではあったが、西南戦争後の地域の状況を示す史料を発見した。また、宮崎県文書センターでは、明治初年以来の膨大な県庁文書がほぼ完全な形で保存されており、現在整理中であったが、部分的に件名検索が可能となっている部分について検索し、多量の関係文書が所蔵されていることを確認した。史料は西南戦争の全過程と戦後の被害調査・裁判関係など多岐にわたるが、とりわけ1877年6月以降、宮崎が薩摩軍の唯一の拠点となって以降の薩摩軍・政府軍の両方についての史料が存在していた。宮崎県関係資料の調査を進めるにとによって、従来不明な点の多かった、西南戦争の後半部分の様相を史料によって確認することが可能となる。宮崎県文書センター所蔵資料については、22年度、23年度も継続的に調査を重ね全貌を明らかにしたい。以上の科研メンバー全員による調査以外に個々の研究分担者も史料調査を行い、一例をあげれば、代表者の大谷、分担者の佐々0勝田は山形県庄内地域の調査を行い、鶴岡郷土資料館他を調査、西南戦争と旧庄内藩士の動向を示す地域資料の調査を行った。