近世史を中心とした身分的周縁研究として遂行されている地域史研究と、近代史における地域支配構造論を接合して地域社会構造の一貫した把握をめざす本研究においては、前近代から近現代にまたがる研究組織(連携研究者12名を含む)を構成し、その全体を研究代表者鈴木良が統括して、平成22(2010)年度は以下の通り研究を推進した。 1、「巨大都市大坂(大阪)、大坂周辺地域」「西日本各地域」「伝統都市京都及び京都周辺地域」「巨大都市江戸(東京)及び江戸周辺地域」の4地域を単位とする共同研究によって各地域の身分・身分集団と社会構造を分析するという方針のもと、各人の主題研究を推進した。その成果の一部は、研究代表者鈴木が『部落問題解決過程の研究第1巻歴史篇』に論文を発表したほか、研究分担者や連携研究者が『部落問題研究』誌等の論文や図書で発表した。また、共同研究会(後掲3)において研究分担者や連携研究者が研究報告等をおこなった。 2、研究推進のために研究協力者本井優太郎(大阪大学大学院生)の参加を得て、研究の基礎となる(社)部落問題研究所所蔵の資史料の整理・調査等を進めた。 3、全体の共同研究会を2010年4月3日、7月25日、9月20日、10月23・24日、2010年1月29日、3月20日の計6回(7日間)開催した。このうち、第48回部落問題研究者全国集会(10月23・24日)は研究成果を研究組織外の研究者等にも公開するものとして開催され、歴史I分科会で連携研究者塚田孝が報告をおこなったほか、全体会で報告(岡田知弘)に対するコメントを連携研究者吉田伸之がおこなった。
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