研究課題/領域番号 |
21320139
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
槇原 茂 島根大学, 教育学部, 教授 (00209412)
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研究分担者 |
長田 浩彰 広島大学, 総合科学部, 准教授 (40228028)
久木 尚志 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (50238292)
長井 伸仁 徳島大学, 総合科学部, 准教授 (10322190)
中野 博文 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (10253030)
寺田 由美 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (40285458)
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キーワード | シティズンシップ / 市民 / 自分史 / 物語(ナラティヴ) / エゴ・ドキュメント / 公共性 / 親密圏 / ヨーロッパ:アメリカ合衆国:メキシコ:ソ連 |
研究概要 |
本年度は、おもに二つの方面で研究を展開した。第一には、全体の研究課題である「(欧米における)市民の自分史」に関する文献収集、および構想をより明確化するための理論的考察である。第二に、共同研究を構成するそれぞれの個別研究に関する史資料・文献の収集、および研究史の整理である。前者に関しては、市民社会論、シティズンシップ論の動向に留意しながら、「自分史」に関連する歴史学の研究動向、とくに文化史、エゴ・イストワール、エゴ・ドキュメント、物語、記憶、ライフ・ヒストリー、リテラシーに関する研究動向を把握しようとつとめた。また、欧米の研究者との交流を通じて、「市民の自分史」概念の有効性に関する批評も受けた。後者に関しては、フランス、ドイツ、アメリカ合衆国、メキシコの古文書館、図書館等の調査によって、各分担者が対象とする個人や集団に関する史料・文献の入手につとめた。それと並行して、それぞれのエゴ・ドキュメントの歴史的コンテクストと、読解の視角(親密圏と公共性、労働者階級の統合、ジェンダー等)に関する考察をすすめた。そして、2009年7月と12月の2回の研究会における報告、討論、研究協力者の助言を通して、これらの両面を照らし合わせながら、全体構想の見直しをおこなった。本研究は、新しいジャンルを切り拓こうとする独創性に富む反面、準拠できる直接的な先行研究が皆無にちかいので、理論的、方法論的に、また実証面でも、さらに模索をつづけなくてはならない。本年度の実績をふまえ、2010年度は、個別研究のテーマと分析視角を確定しながら、共同研究としての凝集力を強めていくことになる。
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