研究課題/領域番号 |
21320139
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
槇原 茂 島根大学, 教育学部, 教授 (00209412)
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研究分担者 |
長田 浩彰 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (40228028)
久木 尚志 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (50238292)
長井 伸仁 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (10322190)
中野 博文 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (10253030)
寺田 由美 北九州市立大学, 文学部, 准教授 (40285458)
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キーワード | シティズンシップ / 市民 / 自分史 / 物語(ナラティヴ) / エゴ・ドキュメント / 公共性 / アンデンティティ / ヨーロッパ:アメリカ合衆国:メキシコ:ソ連 |
研究概要 |
2011年には、10月1日に広島市でワークショップを、12月17,18日に徳島大学で研究会を公開制で開催し、メンバーや研究協力者以外の意見も参考にしながら、共同研究としての凝集性を強めるべく議論を深めた。また研究分担者の一人、長田浩彰の新著『われらユダヤ系ドイツ人:マイノリティから見たドイツ現代史1893-1951』(広島大学出版会、2012年)の合評会を、ドイツ現代史家有志とともに開催した。これらの研究活動を展開しながら、「市民の自分史」研究が、時代設定、主体/自分、エゴドキュメント、歴史のナラティヴ、シチズンシップ、公共性といった問題域の研究動向を反映しており、歴史学の方法論的省察にも寄与しうるものであることが改めて確認できた。各分担者は、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ合衆国、メキシコ、ソ連の各国に生きた「市民」のエゴドキュメントを発掘し、彼・彼女らの「自分史」の読み込みをすすめてきた。そして諸史料の分析と考察を通して、市民と国家、地域、都市や村落、サークルといった重層的な公共圏との関係、また「抵抗」「差異化」「啓蒙」「結合関係/アソシエーション」「アイデンティティ」「尊厳性」といったシチズンシップの構成要素が浮かび上がってきた。対象とする19-20世紀転換期~両大戦間期の時代に生きた「市民」の自分史語り→研究者の読み取り、語りを構成する歴史の層(レイヤー)の分析と解釈→新たな語り(叙述)→「市民(シチズンシップ)の自分史」の編集。この最終段階にあるが、方法論的な考察に手間取ったこともあり、なおも個別の成果発表しかできていない。したがって、今後も共同研究の枠組みを維持しながら、「市民の自分史」集の出版をめざすことになる。
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