平成21年6月12日に上智大学において第1回研究集会を開催し、常見が教会組織研究の趣旨について基調報告を行った。そのうえで4ヵ年計画の研究初年度として本年度は、ポスト・ローマ期から10世紀までの教会組織をイングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランドについて分担して研究史とその問題点、基礎的な史資料の収集にあたることを確認した。鶴島はイングランドにおける「ミンスター教会」の分布とその立地について報告した。9月2日から5日の4日間にわたり、北海学園大学(札幌)において第2回の研究集会を開催し、2つのテーマに分けてそれぞれ研究報告を行った。第1部は「アイルランドの修道院教会をめぐって」をテーマに常見が「K.・ヒューズ論をめぐって」と題して問題提起を行い、田付秋子「'Monasic parochia'をめぐって」、木村晶子「初期中世アイルランドの教会組織一教会従属俗人と教会共同体をめぐって」、大橋真砂子「中世初期の司牧をめぐって」と題して研究史とその問題点を報告した。第2部は「ミンスター教会概念をめぐって」をテーマに鶴島が「学説史の検討と課題」と題して問題提起を行い、森下園「イースト・アングリアのミンスター教会」、梁川洋子「ウェールズの聖人崇敬と司教座教会の成立-St.DavidsとLlandaff」と題して研究史とその問題点などを報告した。また、本年度は常見をはじめ4名がスコットランド、ウェールズ、イングランドで資史料の収集や実地調査などを行った。
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