研究概要 |
平成22年度の研究実施計画に基づいて、中世初期(ポスト・ローマ期から10世紀まで)における教会組織をめぐる研究の問題点の整理、教会・修道院に関する資料収集と実地調査を中心に下記のとおりに研究を進めた。 (1)5月に別府大学において第1回の研究集会を行い、代表者常見信代と分担者鶴島博和による基調報告を行い、本年度の研究の方向性を確認した。 (2)8月に約2週間かけて、中世初期のブリテンにおけるキリスト教文化の中心となったブリテン北部からスコットランド西部および北部の教会・修道院を巡検して、アイオナを中心としたアイルランド系修道院とウィアマス・ジャロウ修道院教会を代表とするアングル・サクソン系教会施設との関係を立地条件、教会建築様式、墓地などについて検証した。さらにスコットランド北部のポートマホーマクで、ピクト領域で初めて存在が確認された教会施設であるセント・コルマーン教会の発掘跡を検証して、アイオナとの関連性を確認した。 (3)11月にロバート・バートレット教授(セント・アンドルーズ大学)の来日を機会に御茶ノ水女子大学において本研究と科研費基盤C(研究代表:新井由紀夫お茶の水女子大学教授)とが共催して'English National Identity in the Middle Ages'と題する研究集会を開催し、意見交換を行った。 (4)12月に熊本において3泊4日の日程で研究合宿を行い、それぞれの研究分担に従って22年度の研究成果を報告した。その成果を学術雑誌Haskins Society Journal, Japan, Special issue 1(2011, March)に投稿した。
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