研究課題
研究代表者が調査を継続しているシリア北西部のエル・ルージュ盆地に所在するテル・エル・ケルク遺跡の発掘調査で、紀元前6500年に遡る新石器時代の墓地が検出された。この墓地からは現在まで240体もの人骨が出土しており、これまでに判明している屋外型の本格的な墓地としては西アジアで最も古く、世界史的に見ても最古の墓地と考えられる。この墓地は数百年の間テル・エル・ケルク集落の人々によって使用されていたと思われるが、一次葬、二次葬、火葬など様々な墓制が認められる。これらの資料を多角的に研究することで、食性や婚姻関係、社会ランクといった社会生活の実態に関わることから、信仰や葬送、他界観、火葬の意味などといった精神生活に関することまで、西アジア新石器時代の人々についての多様で貴重な手掛かりが得られる。本研究では、考古学的な研究と人骨を対象とした自然科学的な研究を実施し当時の人々の社会生活、精神生活を解明するとともに、西アジアの埋葬史の中にこの墓地を位置づけ墓地が成立する意味を正しく理解することを目的としている。平成22年度は、夏季に実施された同遺跡の発掘調査に合わせて研究協力者3名を現地に派遣し、出土人骨に関する考古学的および形質人類学的研究を実施するとともに、日本へ持ち帰る人骨片動物骨片のサンプリングを行った。日本においては、西アジアの埋葬史に関する研究を深化させるとともに、持ち帰ったサンプリング資料のアイソトープ分析、年代測定などを実施し、ケルク土器新石器時代人の基本的食性と墓地の絶対年代についての基本的な結果を得た。
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http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/