研究課題/領域番号 |
21320146
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
山田 昌久 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (70210482)
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研究分担者 |
山岡 拓也 首都大学東京, 都市教養学部, 助教 (30514608)
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キーワード | 実験考古学 / 器具効力の数値比較 / 器具効力の精度比較 / 水利施設 / 狩猟具の衝突 / 食糧管理技術 / 編組製品製作技術 |
研究概要 |
【研究の目的】 考古学で過去の技術を説明する場合、機能の議論は可能であるが、効果・効力に関する数値情報に関しては、実験によって得ることが必要になる。そうした情報の蓄積によって、先史・原始社会の経済を提示しようというのが本研究の課題である。狩猟採集経済・生産経済という抽象的な経済概念では、過去の社会の経済比較は不可能で、この問題点を克服するため、申請研究は極めて重要な研究である。 【研究実施計画】 この研究に関して先に基盤研究Aにより4年間の研究展開を行った基礎に立ち、本申請研究はその発展研究として企画された。実施に際しては復元器具の正確性と実施条件の明確な設定を行って継続的に進行している。本年度は、4地点で実験考古学を実施した。また、実験データの検証のために各専門研究者の助言を得た。具体的には、以下のとおりである。 1、掘削器具の効力比較実験、 2、除草器具の効力比較実験、 3、縄文時代弥生時代の水利施設の構築実験、 4、堅果類の保存実験編組品の製作実験 5、狩猟技術に関する実験 【成果】 石器・木器・鉄器などの工具の効力比較値が入手できた。水利施設の構築実験が完了し、次年度の堅果類・編組品実験の準備ができた。その試行実験が実施できた。 【次年度への課題】 異なる土質条件の地でのデータ収集。実験条件を変えてのデータ収集。研究の総括と新たな企画申請。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3年間の実施で、当初予定していた項目については総て実施できている。その結果、これまで考古学では議論できなかった技術の数値化について、学会発表や論文発表も蓄積された。また博物館の企画展などで成果の社会還元も行われる予定である。 一方、新たな課題も数多く発見でき、それに対応した新しい研究を実施するネットワークの構築も進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、多くの成果を学会へ提出できた。また、新たな課題も多く発見でき、継続的な研究展開が必要になっている。幸いなことに、他大学の4名の研究者の方から、発展研究の参加の意思表明をいただいており、次年度以降別の研究費を得て、組織を拡大した実験考古学を実施可能な体制が出来上がっている。基盤研究Aを得ての展開が必要である。
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