研究課題
平成24年度の調査研究は基本整理方針に基づき,昭和49年度に実施された川原寺裏山遺跡第一発掘調査出土の一括遺物の正確な内容把握,及び各種主要遺物の実測調査などを継続して実施した。特に,前年度までにおける九州国立博物館が設備するX線CTスキャナや非接触光学式デジタイザによる調査成果から,塑像の内部構造の確認と3Dプリンタによる軸木組の実体モデルを作成した。第一次調査出土遺物の整理作業における最終年度の成果では,①考古学・美術史分野では,三尊せん仏や塑像などの個体別接合・収納や台帳作成を推進した。また,東アジアの事例について類例調査を進めた。②保存科学分野では,金属製品の詳細について検討を進め,分類を進めた。その結果,川原寺で密教儀礼が行われていた可能性を示唆する三鈷杵を新たに確認したが,この成果は新聞報道(朝日新聞,平成25年1月29日付夕刊記事)された。また,4年間に及ぶ調査研究を総括し,その成果を社会に速報・公開する目的から平成24年12月15日,研究代表者・分担者に加え中国・韓国・米国からの発表者の参加を得て,国際シンポジウム(「飛鳥・川原寺裏山遺跡と東アジア」)を関西大学で開催した(参加者140名)。シンポジウムの発表内容については,『国際シンポジウム飛鳥・川原寺裏山遺跡と東アジア』と題した資料集を同時に刊行・配布した。本年度末には,第一次・第二次発掘調査の概要や出土遺物の種類・数量などをデータ化した報告書(『飛鳥・川原寺裏山遺跡の総合的調査ー出土品から見た川原寺の特質-』)を作成し,本調査研究のまとめとした。なお,今回の調査研究成果から次段階の課題として,①三尊せん仏の源流・変容に関する問題,②塑像の製作技法と復元に関する問題,③金属製品の詳細な内容把握と復元に関する問題の解明を通じ,飛鳥時代の国際性を実証的に補強できる可能性に問題意識が発展した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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『関西大学博物館紀要』
巻: 第19号 ページ: 1~14頁
『都城制研究』
巻: 7号 ページ: 65~75頁
『古代史の研究』
巻: 18号 ページ: 1~22頁
『阡陵』
巻: No.65・66 ページ: 2~3,8~9頁
『国際シンポジウム 川原寺裏山遺跡と東アジア 資料集』
巻: - ページ: 23~30頁
『年中行事・神事・仏事』(竹林舎)
巻: 生活と文化の歴史学2 ページ: 214~240頁
『日本史研究』
巻: 596号 ページ: 38~42頁
『地域文化の歴史を往く』(和泉書院)
巻: - ページ: 52~74頁
『ヒストリア』
巻: 235号 ページ: 112~123頁
巻: - ページ: 139~152頁
『菟原II-森岡秀人さん還暦記念論文集-』
巻: - ページ: 461-472頁