研究課題/領域番号 |
21320152
|
研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
狭川 真一 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (30321946)
|
研究分担者 |
山口 博之 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 客員研究員 (90470278)
中島 恒次郎 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 客員研究員 (30510177)
勝田 至 (財)元興寺文化財研究所, 研究部, 客員研究員 (90211846)
|
キーワード | 考古学 / 歴史考古学 / 葬送墓制 / 石塔 / 墳墓堂 / 副葬品 |
研究概要 |
日本中世の葬送墓制について複数のテーマを掲げて研究に着手した。まず火葬に関連する事項では、北部九州地域を中心に火葬遺構の事例検討を行い、特に火葬土坑の規模と構造を整理し、造営の年代面の検討も行った。遺構の発見が目立つ中世後期では、火葬遺構が群集する傾向にあり、一定の場の設定とそこでの専業集団の存在を予想することができた。 石塔と墓の関係を探る課題では、韓国の石塔の事例を調査した。韓国では僧侶の墓所を除くと、日本ほど寺院の仏塔が俗人の墓標化する傾向にないことが知られた。また、近畿地方の墓地における中世後期の石仏・石塔の調査は、一部の調査にとどまったが、大枠の傾向は把握できつつある。 土葬墓の副葬品研究は、平成23年度に実施する研究会の準備作業を行った。 墳墓堂研究では山形県立博物館を借用して、中世葬送墓制研究会の第1回として「中世の墳墓堂を考える」研究会を実施した。東日本を中心に各地の事例報告および文献からみた墳墓堂の報告があり、終盤の討論では参加者から活発な意見交換が行えた。考古学の視点ではなかなか墳墓堂遺構の概念整理をするのが難しいことが理解できた。しかし、事例は増加しつつあり、具体例の提示は今後の研究の進展に寄与することは明らかであり、今後も研究を重ねることで終回した。さらにこれらの事例を基礎として各地の武士及び高僧の墓所に関して整理することで、中世の上位層における葬送墓制の実態に近づくことが可能となった。 この他、墳墓全般の比較研究として中国寧波地域で、日本中世の並行期の墳墓事例を調査した。
|