北東アジアの中国周辺地域では、おおむね各地域・民族み国家形成期において、中国の影響を受けて木槨墓が受容され、木槨墓あるいは木槨に類似した墓制が主墓制として一定期間盛行した後は、石室墓・石槨墓といった、より独自性の強い墓制へと転換する現象がみられる。本研究は、こうした木槨墓あるいは木槨に類似した墓制の集成と多角的な検討を通じてその展開過程を具体的に明らかにし、木槨墓の動態を通して、国家形成期の日本および周辺諸地域相互間あるいは中国との間の諸関係を総合的に考察することを目的とする。 本年度は、主に木槨墓の構造・形態・出土遺物等に関するデータ収集の前提となる資料リスト作成および構造・形態・出土遺物等のデータ収集を、奈良県立橿原考古学研究所において研究支援者を雇用して行った。また、平成21年8月25日から9月3日にかけて、西北大学文化遺産・考古学研究センターで実施中の東天山地方における古代月氏および匈奴に関する遺跡調査に関連して、新彊ウイグル自治区バルクル県における匈奴貴族墓について現地での資料収集を実施した。 [海外共同研究者]中国西北大学文化遺産・考古学研究センター王建新、中国西北大学文博学院冉万里、韓国蔚山発展研究院文化財センター李在賢
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