研究課題/領域番号 |
21320156
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 聡史 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (10314460)
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研究分担者 |
高橋 眞一 神戸大学, 経済学研究科, 名誉教授 (80030683)
山本 充 埼玉大学, 教養学部, 教授 (60230588)
藤岡 秀英 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (30252753)
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キーワード | 農村地理学 / 農村人口 / 人口移動 / 兵庫県 / ドイツ:タイ:ラオス |
研究概要 |
3年間の研究期間の最終年にあたる平成23年度は、初年度に予備調査をおこなったドイツとタイについて、それぞれで現地調査をおこなった。ドイツについては、農村地域における地方小都市の役割について、ラインランド・プファルツ州の1集落においてくわしい調査をおこなった。研究成果は今年度に学会で報告をする予定である。タイについては隣国ラオスとの人口移動に注目し、ラオス農村とタイの首都バンコクの間でどのような人口移動が生じているのかについて、バンコク及びラオスの農村で調査をおこなった。ラオスの農村の人口移動のメカニズムを明らかにすることが、先進国(日本やドイツ)、中間国(タイ)、途上国(ラオス)の人口移動による結びつきをみることとなり、最終的には、それが日本やドイツの農村の役割を検討するうえで役立つと考えている。ラオスでは、国内の製造業の発展が不十分で雇用吸収力が脆弱なとき、タイに隣接する地域の農村では農村からの人口移動はラオス国内ではなく、タイに向かうことが確認できる。現在、タイや中国の賃金上昇によりラオスでの製造業雇用が増加しており、それによって、バンコクへの国際的な出稼ぎの流れは多少緩和される傾向にあるように思われる。タイ国内の雇用の一部はミャンマーやラオスなどからの労働者によって担われている一方、タイ人の先進国への労働力移動は鈍化しつつある。タイから先進国への人口移動では留学や結婚を通しての移動に主役が変わりつつある。また、先進国からタイやマレーシアへの退職者の移動が増えるなかで、そうした人々をターゲットとした施策やビジネス(不動産、医療、観光。小売業など)に注目があつまっている。先進国の農村においては、都市の退職者の農村への移動に期待が集まるなか、海外への移動について日本でも近年はさまざまな催しがおこなわれている。日本国内の人口移動の議論をする際にも、受入の動きを強めている海外との関係にも注意を払う必要がある。
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