研究課題/領域番号 |
21320162
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鈴木 伸枝 千葉大学, 文学部, 教授 (70412731)
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研究分担者 |
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
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キーワード | 在日フィリピン人 / 移住者 / 女性 / 労働 / 市民権 |
研究概要 |
23年度の中心的な調査は、在日フィリピン人介護者および日比経済連携協定(EPA)で研修中の介護福祉士候補者に加え、英会話教師当事者と関係者の動向を把握することにあった。在日介護者について聞き取り調査を行うとともに、EPAの介護者については、契約上や個人的な問題が表面化し出しており、本人への状況の確認や雇用者に対しても聞き取りを行った。また、毎月行われているEPAでフィリピン人を雇用している福祉施設及び(専門)日本語教育担当者による研究会に参加し、情報収集にあたった。EPAを途中辞退した介護福祉士候補者とも接触をした。在日の介護者については、状況にあまり進歩がみられず、むしろ離職が目立ち始めている。フィリピン人は「介護に向いている」と一般に表象されているが、そうではない実態を把握でき、考察を深める材料となっている。 英語教師については、3.11の震災以降いわゆるネイティブ・スピーカーが大量に帰国したことに伴い、フィリピン人を雇用する機関が増え、当事者同士の研修やNPO設立なども活発化している。教員へのインタビューはまだあまり出来ていないが、連絡先や勤務先の状況は把握できたので、今後調査を進めていく。 家事労働者については、家庭内での従事のため接触が難しいので、今後も引き続き接触に努力する。 以上の他に、近年は在日フィリピン人女性の子ども(連れ子)が来日するケースが増加していることが明らかになり、こうした若年者の就労や就労のための教育や研修の状況なども今後調査していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね事前の調査準備が功を奏していると思われる。在日フィリピン人については以前から調査をしていたため、スケジュール調整など困難もあるが、在日介護者は「雪だるま」式調査方法が使えるため。EPAについては研究会参加を通し協力的な施設がある。英語教師についても同胞の支援者からの情報提供があるため。
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今後の研究の推進方策 |
移住者の子どもの就労や、それに伴う支援の必要性などが顕著になってきたことから、こうした第2世代の労働や市民権についても調査に加え、調査の対象枠を広げる必要性がある。また、被調査者や一般への知の還元をはかるため、蓄積されてきたデータを翻訳し、またより効率的に処理する必要がある。
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