平成25年度の調査概要は、これまでの調査に加え、第三世界出身の女性に貼られ、移住女性の就労や「女性化(周縁化)」を強化し「二級市民」化を図る負のラベルの軽減、阻止、改善することに尽力する市民社会、とりわけ同胞支援者に注目し、支援の内容や方向性、問題点について聞き取り調査を行った。本年度は、2011年3月の東日本大震災の被災者となったフィリピン人住民に対し、活発に行われてきた同胞支援者の活動(英語教育)と移住者の動向を中心にデータを収集した。 また、在日フィリピン人の実子で、日本人またはフィリピン人の父を持つ子ども世代の中で、近年来日した者への接触も試みた。この中でも日本人の父を持つ子どもの来日は2008年の法改正と連動していることが多いが、この流れに加え、戦前の日本人移民の末裔で日系人(2世、3世、あるいは「世代格上げ」による2世、3世)と認定される者の流入が加速しているように思われることから(統計には反映されないため現場知による)、これまでよりも歴史的な連続性に着目した日系人の労働状況や自立、日本国籍・市民権について、同胞支援者を含む移住者の受け入れ側と移住者自身の認識が同様なのか、また、移住者自身の考えに照らし「女性化」あるいは「市民権」という概念や分析枠組みが妥当性なのかを測ることを試みた。 上記以外では、経済連携協定で来日した第1陣の介護福祉士候補者について、24年度末の国家試験をもって一区切りとなるため追跡調査を試みた。さらに、25年度は最終年度であることから、研究協力者とともに該調査者にとって最も適切な知の還元のあり方についても検討した。
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