研究課題/領域番号 |
21320164
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
春日 直樹 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60142668)
|
研究分担者 |
中川 敏 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (60175487)
栗本 英世 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10192569)
田辺 明生 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30262215)
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
森田 敦郎 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (20436596)
|
キーワード | 社会的なもの / 人類学 / 国家 / 多様性 / 生政治 |
研究概要 |
本研究テーマをリードする人類学者であるHelen Verran教授(メルボルン大学)・宮崎広和準教授(コーネル大学)をあらたに招いて国際会議を開催し、研究代表者と研究分担者の論文発表とコメントに両氏が加わることによって、刺激的な議論を展開することができた〔2012年3月3日、於大阪大学〕。この会議において明らかとなったのは、構築主義的なアプローチの諸類型とその特徴であり、「人類学における存在論的転換(ontological turn)」の課題と展望である。 Marilyn StrathernやBruno Latourらが主導する「存在論的転換」は、本研究にとって不可欠なテーマである。つまり本研究では、「社会的なもの」がどのように認識されるのかよりも、人格・モノ・技術・知識の織りなすネットワークのただ中に、「社会的なもの」がいかに構築されていくか否かを明らかにする、という方向性を確認してその課題を問うてきた。今回の国際会議をつうじ、課題と展望を平成22年度と比べてより綿密な水準で議論することができた。具体的には、以下のとおりである。(1)「真理の主張」(truth claim)としての根拠を、必然・蓋然・恣意・偶然の概念をもちいてどれだけ固めることができるのか。(2)人類学者に馴染み深い民族誌的な事例を、あたらしい立場で再分析し再提起することがどれだけ可能か。(3)「翻訳」「媒介項」などの技術的な用語は、従来の用語とどのように異なるのか〔なお、研究代表者である春日と研究分担者の中川(理)・森田・石井は、「存在論的転換」を主題とする単行本を平成23年度に出版している〕。平成23年度はこれらの課題を中心に据え、議論を発展させてきた。 本研究の成果を国際的に発信すべく、電子ジャーナルの発刊準備を編集作業・デザイン・プログラム・の各作業について順調に進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成22年度の国際会議によって「存在論的転換」に関する先端的議論を転換できた上に、平成23年度の会議ではそれをさらに綿密化することが可能となった。あわせて、電子ジャーナルの発刊による成果発表を、海外の研究者たちの助言と助力で実現する準備ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度は主として研究成果発表を行い、その研究の推進方策は電子ジャーナルの発行と表現できる。刊行に向けた準備は着々と進んでおり、技術的な側面および内容にかかわる側面を最大限に向上させて、平成24年度中に達成する見込みである。なおこの成果発表には、国際的に著名な人類学電子ジャーナルHAU Journal of Ethnographic Theoryの編集部も注目しており、近く研究代表者のインタビューが行われて次号に掲載される予定である。
|