研究課題/領域番号 |
21320165
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
上水流 久彦 県立広島大学, 地域連携センター, 助教 (50364104)
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研究分担者 |
村上 和弘 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 講師 (40363262)
西村 一之 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (70328889)
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (10412686)
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キーワード | 越境(トランスナショナリズム) / 台湾:韓国 / 対馬:先島 / ナショナリズム / 観光 / 植民地 / 文化変容 / アイデンティティ |
研究概要 |
平成21年度は対象海域における歴史的経験の把握植民地期から現在までの交渉の実態を主に現地調査から明らかにすることを目標とした。韓国・対馬の越境に関しては、夏季に対馬にて1) 「厳原みなと祭り対馬アリラン祭」の参与観察および地元関係者(主催者、行政等)、韓国人観光客の認識を、2) 対馬北部にて戦前・戦後の交通・物流に関する変化を調査した。3) また釜山において対馬観光にかかわる関係者への聞き取り調査を行い、韓国側からみた対馬への越境認識を調査した。次に台湾・先島の越境に関しては、1) 先島島民と台湾原住民族との交渉の端緒である宮古島島民遭難事件に関する近年の日本及び台湾で盛んに行われている事件の再解釈・再評価、並びに現地での交流活動などについて、2) 漁民たちの東シナ海国境領域への出漁経験、及び植民統治末期に形成された移民村を根拠地とする沖縄からの漁業移民について、3) 観光客数の変動、移動形態の変化、4) 行政の取組について整理を行った。また、文化的変容では下駄、畳、瓦などモノの変化・移入に関する資料を収集し、八重山の華人社会の形成では、土地公祭等の成立、現状についての把握を行った。この他、政治的変動との関係を実体的に捉えるために東京・台北・ソウルにおいて日本留学の経験者への聞き取り調査により、地域・世代・政治背景による日本経験の差異を分析し、加えて対馬・韓国における越境、八重山・台湾における越境の問題の差異について、研究代表者が両地域を実地調査した。先住民、漁民、観光客、留学生、行政など異なる立場の人間に関する越境の情報を時間軸を追って収集することで、政治的変動の重層的且つ多様な影響を通時的に把握できた。加えて、海を挟んだ両地域で調査を行うことで各地域の自画像と他画像のズレが把握できた。またそのズレには過去の経験が反映しており、文化摩擦の要因を把握する基盤を獲得できた。
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