研究課題
本研究の研究目的は、(1)ローマ法文の日本語訳の収集と検討すること、(2)(1)の成果を日本民法の理解に役立てること、および(3)日本民法典の改正作業に資することの3点である。上記の目的のため、本年度は、これまで約25年間にわたり九州大学サヴィニー研究会等で内部的に蓄積されてきたローマ法文の日本語訳および収集された日本語訳を中心に、電子データーベース化に着手し作業を進めてきた。その成果は、まだ試行的・暫定的にではあるが、ホームページ上に公開を開始している。とくにローマ法文の日本語訳の精密化に資するため、平成22年3月には来日中のドイツ人ローマ法研究者を招へいして、ローマ法資料を巡ってメンバーと研究会を行い、ドイツにおける最新の研究成果の吸収にも努めた。上記の作業の成果については、本研究グループの母体であるサヴィニー研究会(平成21年度はほぼ毎月研究会を開催)およびローマ法研究会(授業期間中に毎週開催)における討議を通じてメンバー間で共有され、本研究グループのメンバーによる日本民法研究に今後反映される。のみならず、国内外の研究成果を集積した本研究によるローマ法文日本語訳のデータベースは日本におけるローマ法学、法制史学および民法学にとって貴重な資料となるものである。さらに、平成21年12月および平成22年2月には、民法(債権法)改正作業に携わっている民法研究者、批判的な立場から発言している民法研究者を東京および関西地区から招へいし、ローマ法を基盤とする日本民法の理解をめざす本研究の立場から、民法改正を巡る議論を深化させるべく、本研究グループとの間で研究会を行った。民法改正を巡る初年度の研究成果も、今後順次公表されていく予定である。
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