研究課題/領域番号 |
21330011
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 俊一郎 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30180326)
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研究分担者 |
道垣内 正人 早稲田大学, 法務研究科, 教授 (70114577)
野村 美明 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
高杉 直 同志社大学, 法学部, 教授 (60243747)
櫻田 嘉章 甲南大学, 法科大学院, 教授 (10109407)
木棚 照一 早稲田大学, 法務研究科, 教授 (90066697)
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キーワード | 国際法学 / 国際民事手続法 / 国際私法 / 韓国 / 台湾 |
研究概要 |
本年度は、まず、各研究分担者において、それぞれの担当領域につき研究を進めて成果を公表した。例えば中野の場合、国際仲戯と国家法の関係、国際裁判管轄規則のあり方を中心に論文を作成し、仲裁ADR法学会にて報告を行った。さらに、それらを基礎として、2011年9月24・25日、韓国より孫京漢、李圭錦、萱泰嶽、石光現、韓忠沫、台湾より王欽彦の6名の学者・実務家を招へいし、同志社大学において、国際シンポジウム「東アジアにおける国際民事紛争処理の現代的謀題」を開催した。そこでは、国際仲裁における法適用のあり方、国際仲裁における消費者保護問題とクラス・アービトレイション、国際仲裁と国際訴訟の競合問題、台湾と日本・韓国の間での司法共助の可能性、国際訴訟競合に関するモデル規則案等について検討を行った。国際訴訟競合に関するモデル規則の具体的内容は、なお細部に擦り合わせを要する箇所も残ったため、次年度、ソウルで開催予定のシンポジウムで最終確定する。他方、日本・韓国が国家承認していない台湾との間での司法共助と紛争処理の円滑化については、王副教授から重要な問題提起があり、検討の結果、相互主義的な考え方を緩和し、交流協会・亜東協会といった実務処理機関を活用することで対応が可能かつ必要である、との共通認識が得られた。そこで、これについては、中野・王が細部を検討し、日本およびヨーロッパで研究成果を公表することとした。2011年11月には、本共同研究の実施に多大の協力を頂いた、金文煥韓国国民大学元総長の停年記念論文集「New Hovizon for Ihternational Trade Law」が韓国で出版された。これには、孫京漢教授ほかの韓国側共同研究者のみならず、日本側からも、本科研費の共同研究者である中野、道垣内、野村、木棚、スーパーバイザーである松岡の5名がそれぞれ論文を寄稿し、本科研費による共同研究の成果を公表す機会を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
外国判決の承認・執行については、2010年のソウル会議、2011年の京都会議において、モデル規則の内容を確定することができた。国際訴訟競合に関するモデル規則については、既に骨格部分を固めており、2012年秋のソウル会議において最終的確定する。また、日本・台湾間で国際司法共助を実現するための方策に関しては、中野と王が共同執筆の形で論文を作成しており、2012年度中に、日本では「国際商事法務」誌、ヨーロッパでは「The Ihternational Journal of Procedural Law」において公表する予定である(前者は校正作業中、後者については現在査読手続中)。
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今後の研究の推進方策 |
2012年9月7-9日に、漢陽大学法科大学院の韓忠株教授のご助力を得て、韓国ソウルにて本科研費の最終国際シンポジウムを開催する予定である。そこでは、国際訴設競合のあるべき規整方法について、日本・韓国・台湾の間で共通に適用可能な規則モデルの内容を検討し、その内容を確定する。また、これまでに得られた国際裁判管轄、外国判決承認・執行、国際司法共助に関する共通ルールの内容を確認し、そこからさらに生じうる新たな問題について検討し、今後に残された研究課題を確認しておきたい。2012年10月からは、研究協力者である王欽彦副教授が学術振興会外国人特別研究員として神戸大学で在外研究にあたることが決定したため、同氏と緊密な連携を図りつつ、最終成果の取りまとめを行う予定である。
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