研究課題
本研究はハンセン病政策の過ちを教訓として、患者、家族そして人々の人権保障とりわけ健康権を保障する、すなわち人権保障の観点から感染症対策を克服するための原理と具体策を提起するものである。最終年度の研究実施計画は、(1)戦後日本の感染症対策-ハンセン病政策-の実態解明、(2)感染症対策における患者の見地等に関する国際研究、(3)研究成果のまとめであった。その結果(1)戦後日本のハンセン病対策をはじめとする医療政策の流れや実態を検討し、その成果の一部として図書(井上)、論文(鈴木、棟居)、学会報告(鈴木)等を公表した。特に、本研究の中心であるハンセン病政策の教訓も一つの根拠とし、「住み続ける権利」を提起したことは大きな成果である。(2)感染症対策における患者の見地等については主に2つの流れで調査研究し、その成果の一部を公表した。一つは15年戦争期における医学犯罪に着目し研究を深めた。昨年度までの成果をふまえ、さらに戦争期の実態を明らかにできた点は大きな成果である。この成果は論文(西山、中川(末永))にて公表した。もう一つは、現代の医療分野における人権保障の意義と課題について多角的に検討し、その成果の一部を公表した。この成果は図書(井上)、論文(棟居)、学会報告等(棟居、土屋)にて公表した。15年戦争期の調査研究は、主な調査地が中国になることもあり資料収集、当時の聞取りも困難を極める。このような中で本調査研究を通じ、当時の状況と問題点が明らかになったことは成果である。また現代的な医療分野における人権保障については、国際人権法の視点からも研究が進んだことは成果である。なお、『日本の科学者』2011年1月号にて、井上英夫、宇佐美治、鈴木静、莇昭三、ユングベ・ネドレボ、シグール・サンドモが、本研究の成果として論文等を公表したが、本助成を受けていたことを記していなかった。訂正しお詫び申し上げる。
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社会保障法
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15年戦争と日本の医学医療研究会会誌
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