研究分担者 |
上嶌 一高 神戸大学, 法学研究科, 教授 (40184923)
小田 直樹 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10194557)
宇藤 崇 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30252943)
池田 公博 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (70302643)
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (80359869)
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研究概要 |
まず実体法に関しては、本研究課題の成果を総合し、学会での意見聴取を兼ねて、第89回刑法学会において、代表者がオルガナイザーとなり、分担者(嶋矢)が報告者(その他組織外2名の報告者あり)、分担者(上嶌)がコメンテーターとして、ワークショップ「過失の競合」を開催する機会を得た。そこでは近時の医療事故をはじめとする過失事案について、過失責任を問われる限界、およびその規律について、注意義務論、行為態様、正犯共犯論と多角的な観点から報告・討論を行った。さらにその成果を刑法雑誌に掲載するとともに(後掲・大塚論文)、代表者が不作為犯論の観点から、分担者(嶋矢)が関与類型論の観点から、論文の執筆を行い、記念論文集に掲載・公表した。さらに、後掲小田論文は、対立の激しい過失犯の成立要件について、認定論という観点から、過失犯の理論構造と要件の体系的配置について、分析を加え、過失犯においては、「認定」の指針となりうる意味ある基準を示すためには、従来の故意犯とアナロジカルな議論では不十分であることを指摘した。 次に、手続法分野では、後掲池田論文は、電磁的記録を含む証拠の収集・保全のために,刑事訴訟法の改正により新たに設けられた手段について,令状主義に関する基本的知見,および既存の枠組みの限界を踏まえてその意義を解説したものである。電磁的記録の保全は,過失責任追及の局面に限って問題となるものはないが,事故の背景等事実関係の広汎な解明が必要となる過失事件においても,既存の証拠収集手段の限界の一部が克服されることの意義は大きく、新たな手段の意義と射程を明らかにした点に,本研究における本稿の意義が認められる。また分担者(宇藤)により、「利益原則」の再検討が行う報告・論文公表が行われた。
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