研究課題
ミクロ金融とマクロ金融各々の領域における消費者・投資者保護の問題を検証することを通じて、この2つの金融領域が相互依存関係にあることに伴い、消費者保護・投資者保護の法的構造もこれら金融領域を横断する形で緊密に連動し、相互に影響を与えているとの結論を提示することに成功したと考える。仔細には、ミクロ金融における消費者・投資者保護の問題としで、第1に、流通市場の取引当事者間における説明義務が消費者契約法の下でどこまで拡大されるかを、将来変動が不確実な事項(金先物取引における将来の金価格)に関する誤認惹起事件を素材に分析した。第2に、発行市場の証券発行者・証券引受者が流通市場の株式取得者に対して負う賠償責任の構造を、西武鉄道事件等に即して考察した。第3に、以上の分析結果と、英国不実表示法制における法律行為法・契約法・不法行為法に及ぶ救済ルールとを比較し、金融商品に関する表示義務の構造を明らかにした。第4に、再建型手続における企業の維持継続と投資家の債権回収の緊張関係につき、主に民事再生手続における倒産企業に対する投資家の担保権の保護の問題を検討した。また、マクロ金融における消費者・投資者保護の問題として、第1に、米国サブプライム問題を取り上げ、ローン組成段階の商品設計に関する事前説明や借入人の事前審査、ローン返済等の中間管理の問題や、証券化における格付審査、証券化商品販売時における情報開示等の問題を分析したほか、ドッド=フランク法における対処策を調査した。第2に、国際金融取引に伴う抵触法の問題として、国際証券取引や国際不正競争を念頭に置いて、通常連結に基づく準拠法の如何にかかわらず、特別連結に基づく我が国絶対的強行法規が適用されることを明確に示し、国際金融取引を巡る法の適用関係を動態的に分析した。
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