本研究は、市民の政治・行政への「信頼」という概念を、「信頼される側」(政治)と「信頼する側」(市民)が互いをどのように認識しているか、また、「される側」と「する側」の相互関係や結びつきはどのように説明されるか、さらに政治・行政における信頼の構造を実証的に明らかにしようとするものである。 平成23年度は本研究の最終年度であり、研究成果のとりまとめと発信が主な内容となる予定であったが、平成22年度末に発生した東日本大震災によりサーベイの実施を一部延期せざるをえなかったため、引き続きサーベイを実施するとともに、震災に関連した質問項目を設定するなどの対応を行った。その結果、震災直後の政府活動に対する評価や信頼に関するデータを震災直後に取得することができ、また震災一年後に同様の質問項目でサーベイを行うことにより、震災前後、そして震災時における政府活動に対する信頼に関する貴重なデータを収集することができた。こういったデータと分析はすでに国際学会等で報告を行っており、各国の研究者から大きな反響をいただいている。本年6月に開催される国際行政学会ではJapan Panelを設置し、・本研究の成果を国際的な研究ネットワークに会報していく予定である。また2013年に日本で開催予定のアジア行政学会(EROPA)においても行政の信頼を主要テーマの一つとし、アジア地域内で今後信頼研究が活発となるべく、情報発信を行っていく予定である。
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