研究課題/領域番号 |
21330047
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
松井 名津 松山大学, 経済学部, 教授 (10320110)
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研究分担者 |
中澤 信彦 関西大学, 経済学部, 教授 (40309208)
只腰 親和 横浜市立大学, 総合科学部, 教授 (60179710)
久保 真 嘉悦大学, 経営経済学部, 准教授 (30276399)
佐々木 憲介 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50178646)
千賀 重義 横浜市立大学, 総合科学部, 特別契約教授 (20036057)
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キーワード | イギリス経済学 / 方法論 / 帰納法 / 演釋法1 |
研究概要 |
2010年度に昭和堂より刊行した『イギリス経済学における方法論の展開-演繹法と帰納法』において、当初研究の目的としていた、イギリス経済学における方法論の展開に関する準拠枠の提示という目的は、ひとまず達成することができた。 その後、刊行書に所収した研究メンバーの相互コメントで示された問題点に関する議論を継続することにより、準拠枠の提示にとどまらず、イギリス経済学および現代経済学の背景となっている知性史等の分野との相互関係が明確化できるのではないかという新たな展望が開けてきた。したがって、本年度はこうした数々の問題点が、どのような領域に属するものか、それぞれが担当している経済学者の理論や思想が、どの領域と最も密接な関係性を持っているかという問題意識の下で、研究会を継続した。研究会においては研究メンバー相互の報告だけでなく、経済学と神学が未分化であった時代の代表としてプリーストリーを研究する太子堂氏、および現代経済学方法論のインプリケーションを示す研究を継続している原谷氏等を講師として招聘し、新たな研究計画におけるより有効な問題設定のあり方等を相互にディスカッションを行った。 結果的に、経済学方法論を以下の四つの次元から再検討するという新しい研究計画を形成することとなった。 1)哲学的次元、2)規範的次元、3)自然科学的次元、4)社会学的次元である。1)哲学的次元では経済現象の因果性や唯名論と実在論等認識論的問題を取り扱う。2)規範的次元では価値自由性やサイエンスとアートの問題を主として取り扱う。3)自然科学的次元では数学や統計学等の分野の分析ツールの発展が、経済学方法論にどのような影響を与えたのかを取り扱う。4)社会学的次元では経済学の社会学的要因を分析する。この4次元区分を使用しながら、経済学方法論の多様性と問題領域の全体像を明らかにしていくこととなった。
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