研究概要 |
本研究の目的は,政府の意図と民間の自由取引とが複雑に絡み合いながら急速に発展する「炭素市場」とその関連財市場について,長期環境政策との整合性,エネルギー政策との整合性,国内外の政治経済への配慮などの観点から,経済分析を行うものである.この研究目的のもと,本研究では「炭素市場」の形成に関わる政策を,市場の設定,監視と制御,長期的育成という三つの局面から分析を進めている.本年度の成果は以下の通りである 市場の設定については,排出許可証先物市場の理論的基礎について分析を進めてきた.その内容は,Kijima, Maeda, and Nishide, "Equilibrium Pricing of Contingent Claims in Tradable Permit Markets," Journal of Futures Markets(2010)をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された.また,昨年に続いて,property right(財産権)の初期割当について,属性を持つ実物資産の価格付けについて検討した.その内容は,石島・前田・谷山「不動産の価格とリスクの評価モデルとその応用」『情報処理学会論文誌:数理モデル化と応用』(2011)をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された 監視と制御については,排出許可証に関わる政策的論点を整理し,総括的な政策論を展開した.この内容は,前田「排出権制度の経済理論と政策的含意」『環境経済・政策研究』(2011)をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された 長期的育成については,長期的な環境技術投資について理論分析を進めてきた.その内容は,長屋・前田「経済発展に伴う環境新技術の最適導入時期」『経済政策ジャーナル』(2010)をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された さらに上記三つを統合した政策論として,前田『ゼミナール環境経済学入門』(日本経済新聞出版社:2010)が出版された
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