研究概要 |
本研究の目的は,政府の意図と民間の自由取引とが複雑に絡み合いながら急速に発展する「炭素市場」とその関連財市場について,長期環境政策との整合性,エネルギー政策との整合性,国内外の政治経済への配慮などの観点から,経済分析を行うものである.この研究目的のもと,本研究では「炭素市場」の形成に関わる政策を,市場の設定,監視と制御,長期的育成という三つの局面から分析を進めている.本年度の成果は以下の通りである. 市場の設定については,排出許可証市場の理論的基礎について分析を進めてきた.その内容は,Akira Maeda(2012)."Setting Trigger Price in Emissions Permit Markets Equipped with a Safety Valve Mechanism." Journal of Regulatory Economics 41(3):358-379.をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された.また,property right(財産権)の評価について,属性を持つ実物資産の価格付けについて検討した.その内容は,石島博,前田章(2011)「不動産価格評価の枠組みと政策的含意」『経済政策ジャーナル』8(2):95-98.をはじめとして,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された。 監視と制御については,排出許可証に関わる政策的論点を整理し,総括的な政策論を展開した.この内容は,前田章「環境エネルギーに対する市場ベースの政策手段-市場安全弁メカニズムを中心に」2011年度中之島ワークショップ『金融工学・数理計量ファイナンスの諸問題2011』(招待講演)2011年12月3日:大阪大学(大阪府)など,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された. 長期的育成については,長期的な環境技術投資について理論分析を進めてきた.その内容は,Akira Maeda, Makiko Nagaya "Habit Formation of Resource Use and Technological Change." 34th IAEE International Conference, International Association for Energy Economics.2011年6月22日.Stockholm(Sweden)など,いくつかの国内外学会発表および論文として発表された.
|