研究課題/領域番号 |
21330055
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
文 世一 京都大学, 経済研究科, 教授 (40192736)
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研究分担者 |
西山 慶彦 京都大学, 経済研究科, 教授 (30283378)
森 知也 京都大学, 経済研究科, 教授 (70283679)
佐藤 康裕 大阪大学, 経済研究科(研究院), 准教授 (30332703)
山本 和博 大阪大学, 経済研究科(研究院), 准教授 (10362633)
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キーワード | 国際貿易 / 国際輸送 / 交通経済学 / 空間経済学 / インフラストラクチャ |
研究概要 |
各研究課題ごとの研究成果は次の通り。 [1]インフラストラクチャの国際競争に関する理論分析(文、森、佐藤、山本) 多数の国から成る経済において、各国のインフラ整備水準と料金が与えられたもとでの国際貿易パターンを求めるモデルを開発した。特に、第3国からの貨物の積み替え(旅客の乗換)を取り扱う、ハブ港湾(空港)間の競争をモデル化した。そのモデルに基づいて、各国政府(またはインフラ供給企業)間の競争の結果として決定される輸送ネットワークの構造と経済厚生を評価した。その際、各国のインフラストラクチャの整備水準や料金を決める代替的運営方式として、次の2通りのケースを想定した。(i)各国政府が自国の厚生を最大化する、(ii)民間企業が利潤を最大化する。分析の結果、(ii)の場合は(i)の場合よりも料金が高くなること、このことにより自国の輸出入にかかわる厚生は低下するものの、第3国の利用者からの収入が増加するので、国全体としては社会厚生が大きくなる可能性があるという結果が得られた。 [2]インフラストラクチャが地域間交易に及ぼす効果に関する実証分析(文、西山) 地域間交易のための輸送費用を決定するモデルを改良し、実証分析に適用した。輸送業者の費用構造を考慮するとともに、それらの間の競争を通じて運賃が決定される状況をモデル化した。地域間物資流動調査の個票データを用いてモデルを推定したところ、理論モデルと整合した結果が得られた。また輸送ロットサイズに関する規模の経済、長距離輸送に関する経済効果の大きさを定量化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[1]インフラストラクチャの国際競争に関する理論分析においては、運営方式の違いが経済厚生に及ぼす効果を明らかにすることができた。[2]インフラストラクチャが地域間交易に及ぼす効果に関する実証分析においては、理論モデルと整合的な推定結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
[1]インフラストラクチャの国際競争に関する理論分析においては、各国による運営方式の選択を内生化するようなモデルに拡張するとともに、国間の経済規模の違いが運営方式の選択や経済厚生に及ぼす効果を分析する。[2]インフラストラクチャが地域間交易に及ぼす効果に関する実証分析においては、輸送時間の効果をモデルに反映できるよう、改良するとともに、輸送時間の金銭的評価値を推定する方法論を開発する。
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