研究課題/領域番号 |
21330060
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
|
研究分担者 |
菅田 一 関西大学, 経済学部, 准教授 (90330167)
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
馬奈木 俊介 横浜国立大学, 経営学部, 准教授 (70372456)
|
キーワード | E-waste / 貿易 / 許可制度 |
研究概要 |
E-waste等の有害廃棄物の貿易構造をみるために、単純な形で実証分析を遂行した。その結果、そうした廃棄物は、低所得の発展途上国ではなく、比較的所得の高い国に輸出される傾向のあることがわかった。この結果は、輸出国が貿易制限をした場合に、最貧国にスクラップが流れ、環境汚染が拡散する可能性がないことを示している。 また、E-wasteスクラップについて、輸入国の輸入需要関数の推計を行った。その結果、複数の国から輸入されるスクラップに関して、それらの代替関係(例えば、日本から輸入されるスクラップとアメリカから輸入されるスクラップの代替性)が予想に反して小さいことがわかった。この結果は、輸出国主導型の貿易制限が実効性をもつことを示しているという点で非常に重要である。 輸入国での適正リサイクルの可能性を担保する制度として、現在、E-wasteリサイクルに係るライセンス制度が採用されている。こうしたライセンス制度の実効性を理論的に分析した。適用罰金に上限がない場合、罰金、マニフェスト、排出税、ライセンスを組み合わせることで、情報の非対称がある下でも、最適な状態を実現させることができることを示した。罰金に上限がある場合のセカンドベスト政策も導いた。 次に、こうしたライセンス制度のもつ実効性について実証分析を行った。ただし、データ制約上、途上国データを用いて検証するかわりに、比較的データが豊富であり、類似のライセンス制度を採用している日本の産業廃棄物制度を対象に検証した。その結果、ライセンス制度は不法投棄に対して抑止力を持つことが実証的に明らかとなった。ライセンス制度に関する研究は、環境を汚染することなく、E-wasteリサイクルを途上国が担っていくことが可能かどうかを判断する上で重要な知見を与える。
|