研究概要 |
引き続き、研究代表者と5名の連携研究者(有本寛、伊藤香織、中島賢太郎、町北朋洋、李チャンミン)による体制で研究を推進した。 本プロジェクトの最終年度に当たり、着実に研究成果が挙がっている。産業集積地に立地するプラントの生産性が相対的に高いという現象の理由を実証的に特定した論文を一昨年度学術誌(Regional and Urban Economics)投稿したところ、改訂要求の回答を得たため、昨年度来コメントに対応したその改訂作業に取り組んで来た。本年度にそれを完了し、再投稿したところ、アクセプトされ、すでに同誌の電子版に掲載されている(Regional Science and Urban Economics 46C (2014), pp. 27-41)。 第二に、本プロジェクトの一環として作成した、植民地時代の朝鮮における個別工場データベースを用いて、日本からの工場の直接投資が朝鮮人による工場設立に与えたインパクトを検証した。一般に海外からの直接投資は現地の工場設立に対して、知識・技術等の移転による正の効果と競争による負の効果を与える可能性があるが、戦前期の日本から朝鮮への直接投資の場合、同じ産業においても関連産業においても、朝鮮人による工場設立に対してネットで正の効果を与えたことが明らかになった。本論文はJETRO-IDEのディスカッションペーパーとして公表したほか、本年6月に行われる日本経済学会で発表する予定である。
|