研究課題/領域番号 |
21330067
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
森田 玉雪 山梨県立大学, 国際政策学部, 准教授 (00452053)
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研究分担者 |
馬奈木 俊介 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (70372456)
東田 啓作 関西学院大学, 経済学部, 教授 (10302308)
寶多 康弘 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (60327137)
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キーワード | 経済政策 |
研究概要 |
近年、石油・鉄鉱石などの鉱物資源、農産物、水産物など、天然資源に対する需要が世界規模で高まっており、資源市場を通じて各国の経済に多大な影響を与えている。本研究では、グローバルな資源の有効利用という観点から、特定の資源を想定した資源市場分析ではなく、包括的に資源をとらえて、企業と政府間の相互作用を分析する。本研究の目的は、資源輸入大国である日本が、今後安定的に資源を確保しつつ持続的に成長する戦略を提示することである。 平成23年度は、国際貿易がある下での国際的に共有されている再生可能資源の最適な資源管理や生産パターンについて、一般均衡モデル分析を行った。各国が独自に資源管理する際は、世界厚生を最大化する資源管理と比べて、資源財の輸入国が、貿易自由化後、レントが発生する資源セクターの縮小を嫌うため、資源管理を緩和させてしまい、過剰な資源利用となってしまうことが明らかとなった。そこで、レントが拡大して貿易自由化で得をする資源財の輸出国が、資源財の輸入国に所得移転を行って、資源管理の強化を働きかけることが必要であることが分かった。この結果は、各国にローカルな再生可能資源が存在する場合とは全く逆の結果となっており、資源の特性を考慮した国際的な資源管理体制の構築が重要であることを示唆している。 国際共有資源がオープンアクセスの場合の貿易一般均衡モデル分析の研究成果が、海外査読雑誌Review of International Economicsに掲載が決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資源の囲い込みがもたらす複雑に絡み合った現象を、東田啓作関西学院大学経済学部教授と賓多康弘南山大学総合政策学部准教授による理論分析と馬奈木俊介東北大学大学院環境科学研究科准教授と研究代表者による実証分析の2つのチームに分かれて丹念に解き明かし、両チームの成果の相互作用を利用して実現可能性の高い戦略を立案している。昨年度までに、水産資源を中心とした理論枠組みの構成及び実証研究が蓄積された。現在は、その成果を一般的な国際共有資源に拡張した研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
馬奈木俊介東北大学大学院環境科学研究科准教授と研究代表者が実証分析チームとして、国、地域および企業レベルのデータを用いて、政府の戦略的資源政策が貿易や資源市場の効率性に与える影響を評価分析する。また、需要側についても、効用関数の推計およびシミュレーション分析を用いて、企業や政府の行動が今後、ミクロ・マクロ的にどのようなインパクトを与えるかを考察する。 東田啓作関西学院大学経済学部教授と賓多康弘南山大学総合政策学部准教授は理論分析チームとして、特定の資源政策が企業行動に与える影響を分析する。資源獲得戦略にどのような影響を与えるかという点だけではなく、代替資源の原材料としての活用に関連する技術の技術開発へのインセンティブについても考察する。さらに、特定の資源政策が貿易構造に与える影響を分析する。
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