研究課題/領域番号 |
21330071
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
八木 匡 同志社大学, 経済学部, 教授 (60200474)
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研究分担者 |
橘木 俊詔 同志社大学, 経済学部, 教授 (70112000)
埋橋 孝文 同志社大学, 社会学部, 教授 (60213427)
伊多波 良雄 同志社大学, 経済学部, 教授 (60151453)
川口 章 同志社大学, 政策学部, 教授 (50257903)
宮澤 和俊 同志社大学, 経済学部, 教授 (00329749)
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キーワード | リスク回避機能 / コミュニティ機能 / 格差感 / 教育 / 幸福感 / 相互扶助 / 非正規雇用 / 移動性 |
研究概要 |
1980年代のバブル期を通じて、地域コミュニティ機能の低下が起き、バブル崩壊後の不況では、企業内コミュニティの崩壊が進んだと理解できる。このようなコミュニティ機能の低下によって、人々は地域社会での助け合いといったリスク回避能力を低下させ、格差意識を高めていったと考えられる。また、企業内でもリストラといった失業リスクの増大、非正規雇用の増大、といった要因によって、企業コミュニティの崩壊が進み、労働者間での格差意識の増大が起きたと理解できる。これは、ソーシャル・キャピタルの低下が、格差意識を拡大したという解釈を可能にするものであり、この点に関する詳細な検証が必要となっていることを意味している。このようなコミュニティ機能と格差意識との関連性を分析することにより、コミュニティ機能の向上のためにどのような施策が必要であるかが明らかになると考えられる。ただし、格差感および幸福感を決定する要因として、その個人がこれまでどのような形で階層間移動をしてきたかは重要な要素となっている。そこで、本研究では、移動性の状態を明らかにする。その上で、格差感および幸福感がどのような要因によって決定されるかを明らかにする中で、コミュニティ機能が与える影響について分析した。その結果、相互扶助の意識が強い場合に、格差感を強く意識していることが示され、コミュニティの相互扶助機能の向上は、幸福感を増大させることが分析結果から確認された。このことは、コミュニティ機能回復のための政策の重要性を示唆していると言えよう。
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