研究概要 |
本研究の目的は、金融政策のアナウンス効果が市場の期待ボラティリティにどの程度まで影響を与えるか、市場ボラティリティが、金融危機に際して、資産価格変動にどれほど影響を与えるか、金融市場と経済変動とはどのような相互依存関係にあるか、といった諸問題を検討し、それらの研究を通して金融市場ボラティリティ・金融政策・経済変動を理解することである.A. 「中央銀行のPurdahと金融政策決定会合前後のボラティリティの変動」、B. 「国際金融市場における期待ボラティリティのダイナミックスと共変動」とC. 「金融市場ボラティリティと経済変動の相関」の3つのプロジェクトから成り、1年目の平成21年度においては、計画通り研究を進めることができ、次の成果を得た. プロジェクトAでは、実証分析の発表:中央銀行における"Purdah Rule"と呼ばれる中央銀行の慣習-政策会合前後の期間には沈黙を守るべきという自己規制的慣習-がもつ合理性について検討している.日本銀行における金融政策決定会合に関する公開情報を収集し、実証分析の結果をMonetary Policy Meetings and Market Volatility Anticipations (Maghrebi, 2010)として研究会で発表した.米国金融危機における市場ボラティリティと金融規制についてもMaghrebi (2010)において発表した.プロジェクトBでは、必要なデータの処理と実証分析の発表:Volatility Index Japan VXJボラティリティ指数の統計的な特徴に関する分析結果を、大阪大学の金融・保険教育研究センターのDiscussion Papers (2010)において発表した.韓国および香港株式市場における期待ボラティリティを推計し続け、Volatility波及・流出する経路も分析している. プロジェクトCでは、データの処理と実証分析:金融市場におけるボラティリティと景気循環との関連・メカニズムについて、実証分析を行い、論文を作成している.
|