研究課題/領域番号 |
21330085
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福嶋 路 東北大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (70292191)
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研究分担者 |
渡部 俊也 東京大学, 先端技術研究センター, 教授 (00334350)
犬塚 篤 東京大学, 先端技術研究センター, 准教授 (30377436)
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キーワード | 未活用技術 / 技術価値の発現 / 社会システム / 医薬品業界 / リポジショニング戦略 / 知的財産権 |
研究概要 |
本研究では、適切な用途さえ見出せば開花されるであろう、技術の可能性を発現させるための社会的仕組みはいかなるものなのかを明らかにすることを目的としてはじめられた研究である。本年度は未活用技術が一度捨てられたにも関わらず再度別の製品向けに転用され再利用されている事例を収集し、研究対象の枠組みを検討した。電気・電子産業、化学産業、製薬産業などを対象にこのような事例の探索を行った。ただ今後、特許データを使用する分析ができることを念頭に置いて、「技術」が比較的、他の技術と相互依存せずに自己完結しており、また可視化されやすく、しかも最終製品と1対1対応がしやすい業界の選定が行われた。各業種を精査した結果、医薬品業界が適しているのではないかという意見の一致をみた。実際、医薬品業界では、ある会社で開発した技術が使用されない場合、他社がそれを取得し商品化までにこぎつけている事例が散見されており(業界関係者はこれをリポジショニング(repositioning)と呼んでいる)、またこのような事例は、特許が2011年に切れる薬品が多く、そのために新しい製品を渇望しており、さらに開発コストが年々上昇している当業界において、リポジショニングの必要性が高まっていること、また事実、そのような事例は頻繁に起こっていることは同業界関係者からも確認できた(たとえば万有製薬のニューロタンは有名な事例である)。開発コストが増加する医薬品業界において、リポジショニング戦略は今後ますます重要になることも明らかになった。今年度の調査より、来年度以降は、製薬産業に焦点を絞った再生戦略について考察を加えていくという方針が明確化された。
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