研究課題
本年度の目的は、埋もれた技術の潜在的価値を発現させる仕組みについて、主に、事例の収集、特許分析、制度分析の3本立てで研究を進めた。第一に製薬業界におけるリポジショニングの事例の収集が行われた。本研究では乳がん治療剤として開発されたが骨粗しょう症や男性型脱毛症に用途変更が行われたラロキシフェン、睡眠導入剤のサリドマイドが多発性骨髄腫へ転用された事例などより臨床時におけるセレンディピティーが重要な役割を果たすことが認められた。さらに技術を囲む研究者のネットワークの在り方が、セレンディピティー発生の確率を高めるのではないかという仮説が引き出された。第二、特許分析については、引用特許をもとにした未利用技術の在り方について業界横断的な分析結果を行い、それと並行して、特許発明者間のネットワーク構造をもとに、社内に偏在化する知識がどのように結合され、再利用を図っているかに関する分析が行われた。さらに製薬業界を対象に、企業が不要な技術を放棄するタイミングから製品開発能力を推定する分析を行った。第三の制度分析については、ネットワークが可視化されており、用途が明確でない技術をもつハイテクベンチャーや大学発ベンチャーが研究対象とされ、そこでの技術の商業化に関する調査が行われた。結果、大学からのスピンオフのパフォーマンスには外部アドバイザーネットワークが重要な役割を果たすが、そのネットワークはただ広ければよいというわけではなく、非冗長的(nonredundancy)であり密なネットワークであることが支援企業のパフォーマンスに正の影響を与えることを明らかになった。また用途が不確定なハイテク企業が叢生する地域においても、開発の初期段階は新技術を保有する企業家を囲むネットワークはタイトかつクローズなものである傾向があることが示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Technological Forecasting and Social Change
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.techfore.2012.10.027
Tech Monitor
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岡山大学経済学会雑誌
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