研究概要 |
本研究は,新たなガバナンスの時代に採用されるようになっているさまざまなコントロール・メカニズムが,企業の行動およびパフォーマンス,投資家の行動に与える影響を解明しようとするものである。平成21年度は,3つのテーマに絞り,実証研究に取り組んでいる。 第1のテーマは,自己株式の取得および金庫株の消却を対象にした,ガバナンス効果の測定である。平成21年度は,金庫株消却のニュースがもたらす株価への効果を分析するとともに,どのようなガバナンス構造や制度的な環境が自己株式の取得に大きな影響をあたえているかを明らかにした。このテーマについては,3本を投稿し,うち1本が受理されている。 第2のテーマは,取締役会改革の進捗を対象に,内部および外部コントロール・メカニズムの関係さらにそれらが企業の財務行動,具体的には株主還元政策に与える影響である。平成21年度は,現金配当と自社株取得の両方を取り上げ,それらに対して,取締役会改革や株主構成がどのような影響を与えているのかを解明した。現在,1本の論文を投稿中である。 第3のテーマは,株式所有構造が与える影響である。株式所有構造が企業の戦略の選択,さらには企業パフォーマンスにどのような影響を与えているかについて,やや異なる視点から3本の論文を執筆し,現在投稿中である。また,これまでにない視点からブロックホールディングを分析する枠組みを提示し,これについても論文を1本投稿中である。
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