研究概要 |
本研究は4カ年計画で実施される.第3年度に当たる平成22年度は以下の通り,おおむね研究計画に沿って研究が実施された.以下,今年度の実績について簡単に説明を行う.第一に,日本型経営,コンプライアンス研究に関連する文献ならびに各種資料を引き続き入手,狩猟し,これまでの研究を各自の専門分野の領域の立場から多面的に検討し,日本型コンプライアンスモデルの分析枠組の構築を試みた.第2に,調査対象企業の本社,工場,営業所,海外子会社等へのヒアリング調査を引き続き実施し,部門や職種,ヒアリング対象者の職歴等の相違を考慮しながら,調査対象企業のコンプライアンス体制の実態を把握し,日本型コンプライアンスモデルの具体像を探り,「日本型企業倫理活動の特徴」としてまとめた.第3に,事前に国内でそのための合宿を重ねながら,テキサス州サンアントニオで開催されたアメリカ企業倫理学会において,「日本型企業倫理活動の特徴」と題して報告を行った.第4に次年度,アメリカ経営学会,アメリカ企業倫理学会で報告を行うために,「職場環境主導の企業倫理活動」「日本企業における「良い仕事」と題する論文を作成し,これらを英語へ翻訳の上,それぞれの学会へ投稿した.それらの論文においては,平成23年度のヒアリング調査の結果から,日本では,調査対象企業のように職場環境の改善から企業倫理の取り組みが行われていることを示唆し,全社的な「良い仕事」を求める活動から企業倫理の組織への浸透が行われ得ることなどを示唆した.なお,本年度の研究成果の一部は,次頁に示す学会発表等において公表されている。
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