1.楽器の製造・販売がどのようにして創造され、制度的(政治、法律、行政など)、技術的、経済的(人口、市場など)、社会的(文化、価値意識など)な事業環境条件との間でどのようにして適応的で発展的な成長を図ってきたかをダイナミックに分析するために、関連する文献ならびに各種資料(1次および2次資料)を入手、渉猟した。また、これまでの研究をそれぞれの専門領域の立場から多面的にサーヴェイし、試論的分析枠組を演繹的に導出するために研究をおこなった。 2.事例研究としてプレインタビューをおこなった。対象企業はヤマハ株式会社、同浜松工場、スタインウェイ社日本支社、同ハンブルグ工場を選出し、ピアノ製造を中心に製造過程とマーケティングについて調査をおこなった。スタインウェイではブランド確立のためにアーティストとの連携を創業以来重視し、現在はスタインウェイ・アーティストとして世界各国のピアニストやオーケストラ団体を認めている。これに対しヤマハでは一流アーティストとの連携は弱かったが、近年では特に金管・木管楽器でR&Dに特定のアーティストの協力を仰ぐことで、著しい品質向上が達成されているなど、新らたな所見がこの調査により明らかになった。 3.これらの資料・情報をもとに欧米と日本に関するピアノの歴史について、研究の途中経過としての論文を執筆中である。具体的には「日本のピアノの歴史」「スタインウェイのマーケティング戦略」「総合楽器メーカーとしてのヤマハ」「欧米のピアノの歴史」について研究を進めている。
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