研究分担者 |
中野 常男 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60093522)
櫻井 久勝 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10127368)
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
音川 和久 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90295733)
鈴木 一水 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90235937)
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研究概要 |
本研究代表者(古賀智敏)の研究実績は,大きく次の2つに区分される.第一は,開示の経済的実質という側面から,IFRS時代の企業情報開示システムの最適設計のあり方に関する論究である.そこでは,財務情報と非財務情報,内部統制と監査という企業システムを構成する4つのサブシステムがギアのように相互に連動し,補完し合いつつ,構築されるという開示実態を踏まえて,企業経営者と情報利用者とのコスト・ベネフィットの理念的最適解として,体系的・総合的な企業開示システムの重要性を明らかにしている(『IFRS時代の最適開示制度』2011).ここでとくに重要なのが,もう一つの課題である財務情報と非財務情報とを統合させた統合レポーテイングの研究である.本研究は,国際的にも緒についたばかりであるが,本研究の国際的動向を訪ねつつ,今後の研究の課題と方向性を究明しようとした(拙稿参照). また研究分担者は,たとえば会計の中心概念である資産を経済的資源と捉える考え方が経済的実質主義会計における利益計算をどのように拘束しているかを理論的に解明するとともに(鈴木(2011・a)),税務面からも,損失を租税回避に利用することを抑制するための課税ルールと経済的実質を重視する財務会計ルールとの相違を指摘しつつ,全体計算については課税所得計算が財務会計から離れては存在しえないことを解明している((2011・b)).さらに実証面では,たとえばKitagawa and Gotoh(2011)は,インプライド資本コストの推定にはPEGレシオおよび修正PEGレシオがリスクを最も適切に反映することを発見するとともに,この発見は,経済的実質主義による会計基準設定が積極的に行われるようになった2000年以降にとくに顕著であることを明らかにしている.Kitagawa,Kim, and Gotoh(2011)は,非財務情報を考慮することが,適切にリスクを反映したインプライド資本コストが推定できることを発見した.
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