研究課題/領域番号 |
21330113
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木村 邦博 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80202042)
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キーワード | 社会学 / 社会系心理学 / 階層・階級 / 社会的スキル / 社会的態度 / 階層再生産 / アスピレーション / 学習行動 |
研究概要 |
東日本大震災による影響を考慮し、平成23年5月から7月にかけて、調査依頼高校3校と調査内容・調査時期に関して協議を行った。その上で、平成23年8月から10月にかけて、「学校生活と社会に対する高校生の意識調査」第3回調査を、高校3年次在学生・保護者を対象として、自記式配票調査の形式で実施した。同時に、高校生とその保護者に対して、平成24年度に郵送調査法で実施予定の第4回調査に協力を依頼し、協力者には「調査協力承諾書」に住所・氏名を記入して提出してもらった。 11月から12月初旬にかけて業者に委託してデータセットの電子ファイルを作成した。このデータセットを用いて集計を行い、「速報」の形でまとめた。主な知見は、次のとおりである。(1)保護者から高校生に対する大学進学期待の方が、高校生の大学進学希望を上回る形になっている。(2)高校生の学習意識は、全体的にみて高校1年次から3年次までで変化していない。(3)他方、高校3年次になって、学校外の学習時間が若干長くなった。(4)社会的スキルに関する高校生の自己評価では、全般的に、「感情統制」を除いて、比較的スキルが身についているといえる。(5)高校生は生得的属性にかかわる不公平を認識する傾向があるのに対し、保護者は獲得的属性に関する不公平を認識する傾向がある。(6)3回の調査を通じて、生活満足感と社会満足感にはわずかな変化しか見られない。この「速報」は、調査依頼校を通じ、調査協力をお願いしたすべての高校生とその保護者に対して、平成24年1月に配布した。 第1回目から第3回目までの調査データの本格的分析を開始し、平成23年11月と平成24年2月に、研究報告会を実施した。この研究報告会での議論を踏まえながら、研究代表者と連携研究者がそれぞれ、各自のテーマに即してデータ分析とその結果の考察をさらに行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災により調査依頼校3校も人的・物的被害を受けたため、研究計画どおり「学校生活と社会に対する高校生の意識」第3回調査が実施可能か、調査依頼校各校と相談する必要が生じた。その相談も5月末からとなった。相談の結果、当初7月と予定していた調査実施時期を8月末から10月にかけてに変更するとともに、回答者の心情に配慮して家族に関する質問項目は含めないことにした。以上のような事情から、データ作成・分析や協力者に対する単純集計結果のフィードバックなどを急がねばならなくなったり、回収率が低下したりと、予想外の事態が生じた。しかしながら、これらの困難を克服して年度内の計画を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災による影響で、平成24年度に実施予定の第4回調査も、実施時期を当初の研究計画より2ヶ月程度遅らせ、平成24年7月頃に実施することにした。また、やはり大震災の影響か、第4回調査(卒業後調査)に協力してもらえる家族は全体の約1割の86組と少数になったため、第4回調査のリマインダーをかねて平成24年3月には「卒業お祝い状」を郵送することで、協力の意思を維持していただけるように努力した。とはいえ、第4回調査の標本規模は、高度な統計的分析手法を適用できるとはいえないものなので、回収率向上のための工夫を実施するとともに分析手法に関しても検討を加えて行くことで、研究計画で目標にしていた成果が得られるように努める。
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