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2011 年度 実績報告書

臨床教育のビデオエスノグラフィー:高等教育における臨床教育場面の経験的比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 21330118
研究機関徳島大学

研究代表者

樫田 美雄  徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 准教授 (10282295)

研究分担者 五十嵐 素子  上越教育大学, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (70413292)
宮崎 彩子  大阪医科大学, 医学部, 講師 (20298772)
北村 隆憲  東海大学, 法学部, 教授 (00234279)
米田 憲市  鹿児島大学, 大学院・司法政策研究科, 教授 (20283856)
真鍋 陸太郎  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30302780)
キーワード臨床教育 / エスノメソドロジー / 法科大学院 / 高等教育改革 / コミュニケーション
研究概要

4年計画の3年度目の研究として、発表(学会発表と投稿)を本格化させ、かつ、必要な補充調査とデータの加工を行った。
まず、国際学会発表においては、IIEMCA(国際エスノメソドロジー・会話分析学会)の世界大会(フリブール大学、スイス)において、研究の中心部分に関する口頭発表を行った(五十嵐・岡田・樫田の連名発表。審査を通過した発表)。さらに国内外の複数の学会で、口頭発表を行った(合計8件:連名の場合も、単独の場合もある)。
投稿については、査読誌掲載論文3本と非査読誌論文1本を作成・発表した(連名の場合も、単独の場合もある)。
補充調査においては、法学分野における模擬法律相談録画とリアル法律相談録画の両方に成功し、現在データ分析中である。
発見事項としては、次の2点の内容を特筆するべきであろう。第一に、専門家は、素人との間に、知識勾配上の落差の構造を持っているが、その実際の表れは多様である。たとえば、実際の弁護士が、クライエント役をして、法科大学院の大学院生が弁護士役をしている「模擬法律相談」の場合、知識勾配の2直線は交差する(実際の弁護士>大学院生、「クライエント役<弁護士役)。この交差状況が、現実の教室内コミュニケーションにおいて、同時存在している様相が、我々の研究によって露わになった。第二に、専門職種の違いが、生活に係わる判断まで求めるかどうか、という点において、コミュニケーションに強く影響していた。医師には、クライエントは、医学知識だけでなく、生活全般の助言を求めるのに対し=そして、そのことに固有のコミュニケーションスタイルがあった=、弁護士には、クライエントは、生活全般の助言は求めていなかった=法的判断だけの被提供での充足を予期させる固有のコミュニケーションスタイルがあった=。これらの様相の明示化は、我々の研究の大きな成果であると言えよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学会発表は、国際学会(国際エスノメソドロジー・会話分析学会atスイス、フリブール大学)1回、国内学会7回を実施することができた。原稿執筆も、3件の査読論文を含む4件の投稿ができた。
調査についても、補充調査において、これまでになく音声状態が良好なビデオ撮影に成功できている。
翻訳企画については、出版社における審査中であるが、企画検討委員会にかかることまでは決定しており、認められる見込みが高い。また、訳稿は、半分以上ができあがり、目次構成は完成している。次年度の最終年度に大きく成果を出すための準備は滞りなく進んでいると言えよう。

今後の研究の推進方策

学際的共同研究であることに係わって、2つの課題が見えており、それを乗り越えつつ、最終年度の研究を進めていきたい。第一の課題は、データ管理に関することである。模擬法律相談およびリアル法律相談のデータは、ハイビジョン撮影されているため、オリジナルデータにおいては、弁護士(役)が手元で参照している六法の条文の内容や、クライエントに呈示しているメモの内容も、かなりの程度録画されているものの、ハイビジョンデータの配付・共有が困難であるため(1回の調査につき、数百GBほどにもなる)、現状では、それをスクンダード画像レベルに変換して配付している。そのため、共同研究者と、十分なデータ共有ができていない。現在は、折々に撮影された静止画データの配信で代用しているが、この問題を解決しなければならない(ブルーレイメディアでの配付を検討中)。また、学際的共同研究であるため、発表媒体の選定に問題を抱えている。各学会での発表者要件(学会加入者に限られる場合がほとんど)をクリアするべく、計画的な学会加入などを検討中である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 在宅療養者と介護者の相互行為分析-ある脊椎損傷者の着替え場面に注目して2012

    • 著者名/発表者名
      樫田美雄
    • 雑誌名

      地域科学研究

      巻: 2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 都市工学演習での最終発表内容と教員との最終ミーティングとの関係2012

    • 著者名/発表者名
      真鍋陸太郎
    • 雑誌名

      大学教育ジャーナル

      巻: 9 ページ: 11-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 学習活動をデザインするための視点-エスノメソドロジー研究の立場から2012

    • 著者名/発表者名
      五十嵐素子
    • 雑誌名

      教育創造

      巻: 170 ページ: 48-53

  • [雑誌論文] 中途診断というカテゴリー変化の中で生きる-発達障害者の中途診断経験と自己探求の社会学-2011

    • 著者名/発表者名
      樫田美雄
    • 雑誌名

      地域科学研究

      巻: 1 ページ: 1-14

    • DOI

      http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/bulletin/reg/2012_1_Living%20through.pdf

    • 査読あり
  • [学会発表] 裁判、陪審、紛争解決-Talk in Action第4章の紹介2012

    • 著者名/発表者名
      北村隆憲
    • 学会等名
      制度的場面におけるエスノメソドロジー・会話分析研究会
    • 発表場所
      新潟青陵大学(新潟県)
    • 年月日
      2012-03-26
  • [学会発表] 法専円職の相互行為知識と詳議における知識系・アイデンティティ:ビデオデータによる反対尋問と陪審評議の分祈を素材に2012

    • 著者名/発表者名
      北村隆憲
    • 学会等名
      エスノメソドロジー・会話分析研究会
    • 発表場所
      明治学院大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-26
  • [学会発表] 徳島における吉野川水害史から見たポスト3・11の社会学的課題2012

    • 著者名/発表者名
      樫田美雄
    • 学会等名
      日本社会学理論学会
    • 発表場所
      立教大学(東京都)
    • 年月日
      2012-03-11
  • [学会発表] 東日本大震災後のある時期のテレビ画面のヴィジュアル・コミュニケーションを読み解く2011

    • 著者名/発表者名
      岡田光弘、樫田美雄
    • 学会等名
      日本ヘルスコミュニケーション学会
    • 発表場所
      九州大学医学部(福岡県)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] なぜアウトカム基盤型で考えるのか-社会変容と医学教育-2011

    • 著者名/発表者名
      樫田美雄
    • 学会等名
      医学教育学会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島県)
    • 年月日
      2011-07-23
  • [学会発表] Teacher's conversational devices for promoting student clinical reasoning : The case for problem-based learning2011

    • 著者名/発表者名
      樫田美雄, 他
    • 学会等名
      IIEMCA(国際エスノメソドロジー会話分析学会)
    • 発表場所
      フリブール大学(スイス)
    • 年月日
      2011-07-14
  • [学会発表] Change in speaking time of olderly people who require facility care when social communication from staff is incroased2011

    • 著者名/発表者名
      北村隆憲
    • 学会等名
      USM International Nursing Conference 2011
    • 発表場所
      Kota Bharu, Malaysia
    • 年月日
      2011-06-14
  • [学会発表] 制度的コンサルテーションの相互行為分析-法律相談と医療面接2011

    • 著者名/発表者名
      北村隆憲
    • 学会等名
      日本法社会学会学術大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都)
    • 年月日
      2011-05-07
  • [備考]

    • URL

      http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/social/kasida/new_kashidakaken09/event_top.html

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公開日: 2013-06-26  

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