研究課題
本年度は、韓国・イタリアのカウンターパートから調査データの提供を受け、その分析結果を検討し、海外のカウンターパートと意見交換を行った。また、国内において学会発表を行い、調査結果を広く社会に発信するとともに、国内の研究者とも意見交換を行った。さらに、カナダの若年者のキャリア形成と家族形成の過程について、トロント市とその周辺地域の1001人の若年者を対象としたアンケート調査を、カナダのカウンターパートと共同で行った。その結果、以下の点が明らかになった。(1)1970~80年代と比較して人種・民族的にはるかに多様化した。調査対象者の過半数は一世ないし二世のカナダ人であった。(2)これら若年者の大半は、高校卒業後1年以上に実家を離れて生活した経験があるが、必ずしも実家から完全に独立したわけではなく、多くの場合、結婚ないしは事実婚の形で独自の家族を形成するまで、実家から完全に独立することはない。(3)若年者の大半は、一生の「キャリア」となるフルタイムの仕事に落ち着くまでに何回も転職を繰り返す、という意味でのキャリア開発の長期化を経験している。(4)これら若年者の大半にとって、雇用状況は不安定であり続けている。これらの結果から、カナダにおいても、既にデータを収集済の日本、韓国、イタリアと同様に、成人期への移行が長期化する現象がみられるとともに、若年者たちが直面している成人期への移行の現実に、制度的支援にどのように対応していくかが課題になっているといえる。
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労務理論学会誌
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貧困研究
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