研究課題
本研究は、冷戦期にアメリカ合衆国が日本および韓国に対して行ったプロパガンダ活動、すなわち「広報外交」(Public Diplomacy)の実態を、国内外の資料に基づき、実証的に解明しようとするものである。初年度にあたる本年度は、研究分担者以外に、連携研究者として小林聡明氏(神奈川大学人文学研究所研究員、メディア史・朝鮮半島地域研究)、研究協力者として吉田則昭氏(日本ABC協会・立教大学兼任講師、メディア史)の参加を得て、日本国内の他、韓国およびアメリカ合衆国において資料収集を進めた。また、2009年8月3日には、ソウル大学において、「ソウル大学校言論情報学科BK21事業団海外学者招請セミナー-冷戦期プロパガンダ研究の新潮流-」(代表者・ソウル大学教授姜明求)を共催し、韓国の研究者との交流を図った。その結果、アメリカの「広報外交」が冷戦構造の構築・固定化と緊密に結びついて展開されてきたことが、アジア地域ならびに東ヨーロッパ地域におけるUSIA(United States Information Agency)の活動の実態から浮かび上がってきた。また、とりわけ朝鮮半島においては、朝鮮戦争を機に国連軍が開始したプロパガンダ放送(VUNC、Voice of United Nations Command)が実態としてはアメリカ軍が行ったものであることが判明し、アメリカの「広報外交」の一環に位置づけることが可能である。したがって、今後は、軍事作戦における各種のプロパガンダと、冷戦期の「広報外交」における広報活動との連続性と差異を、より詳細に検討する必要がある。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件)
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