研究課題/領域番号 |
21330123
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
井川 充雄 立教大学, 社会学部, 教授 (00283333)
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研究分担者 |
黄 盛彬 立教大学, 社会学部, 教授 (50308095)
清水 真 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (30386445)
小林 聡明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 学術研究員 (00514499)
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キーワード | 社会学 / 冷戦 / アメリカ / 広報外交 / 世論調査 / VOA |
研究概要 |
本研究は、冷戦期にアメリカ合衆国が日本および韓国に対して行ったプロパガンダ活動、すなわち「広報外交」(Public Diplomacy)の実態と、その際に用いられた評価法を、国内外の資料に基づき、実証的に解明しようとするものである。` 昨年度に引き続き本年度も、研究協力者として吉田則昭氏(日本ABC協会・立教大学兼任講師、メディア史)の参加を得て研究を行った。その上で、各自の分担にしたがって研究を進めるとともに、2012年3月4日には、東京大学において、国際シンポジウム「占領する眼・占領する声一USIS映画とVOAラジオ放送」を同大学大学院情報学環などと共催し、内外の研究者との討論を行った。 本年度は、特に、アメリカ合衆国の対外放送であるVOA(Voice of America)の冷戦期の活動に対して多面的に検討を行った。まず、内容面では、VOAは冷戦期にはさまざまな番組を放送したが、その1つの「VOAフォーラム」は各国の知識人層を対象とした教養番組で、知のヘゲモニーを握ろうとしたものであった。こうしたVOAの戦略は、ハード面、すなわち中継網の整備の上に成り立つものであった。VOAは「ラジオ・リング・プラン」という計画に基づき、世界各地に中継所を設置した。アジアにおいては、フィリピン、沖縄、タイ、セイロン(スリランカ)に中継所が置かれたが、それは、しばしば被設置国側との間に葛藤をもたらすことになったのである。 また、VOAの番組を始めとし、「広報外交」の各種のプログラムは、その効果の測定とセットとして実施された。その際に用いられた世論調査技術は、より高度になり、洗練されていったのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカの対日本・東アジアに対する「広報外交」に関する1次資料については、精力的に収集を進めている。今後、さらなる読解を進めることで、新たな知見が見いだされるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、旧東側諸国に対する「広報外交」や、旧ソ連による対抗的なプロパガンダなどにも目配りをし、比較検討を行っている。今後、アメリカの対日本・東アジアに対する「広報外交」と、それらを総合的に検討することによって、より複眼的、多角的に冷戦期にアメリカ合衆国が日本および韓国に対して行った「広報外交」の実態を明らかにすることができよう。
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