研究課題/領域番号 |
21330124
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
木下 康仁 立教大学, 社会学部, 教授 (30257159)
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研究分担者 |
中川 薫 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (00305426)
標 美奈子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 准教授 (30289996)
小倉 啓子 ヤマザキ学園大学, 動物看護学部, 教授 (70413135)
山野 則子 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (50342217)
山崎 浩司 信州大学, 医学部, 准教授 (30378773)
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キーワード | 高齢夫婦間介護 / 当事者グループ / 子育て行き詰まり / 伴侶死別 / 飼育ケア / スウェーデン / ケアラー支援 |
研究概要 |
本研究は、高齢夫婦間介護、障碍児養育、若年認知症者介護、子育て不安・虐待防止、グリーフケア、ペット介護の6テーマの質的研究からケアラー(介護・養育者)の複雑な体験を理論的に再構成し、海外調査の成果を活かしつつ、サポートモデルの提案を目的とするものであり、平成23年度は進捗にばらつきが生じたが全体として個別テーマの分析を進めた。海外調査は公的部門主体の福祉制度から様々な形で変革を試行しているデンマークとスウェーデンにおいてケアラー支援の実際を調査し、後者ではとくに二つの地方自治体の取り組みを詳細に把握した。また、本年度予定していたホームページの開設を行った。 テーマ別では、高齢夫婦間介護班は中山間地のデータ分析を終了し、密着度の高い地域的インフォーマルケア、フォーマルな援助者もまた地域居住者であること、そして、両者の組み合わせが高齢夫婦の生活継続を支えている構造を明らかにした。障碍児養育班は母親たちを対象に、当事者間の関わり合いが4点(共感、ケア役割一時的解放、ケア規範再構築、役立ち情報入手)においてサポート力を構成していることを明らかにした。若年認知症者介護班は介護者である妻に焦点を当てケア体験プロセスの分析を高齢認知症者の場合と比較し分析を進めた。子育て不安班は終了している分析結果をもとに当事者向けリーフレットの作成や子育て講座での講義を行い、実践的活用に向けた取り組みを行った。グリーフケア班は若年伴侶死別者の体験プロセスを分析しケアの必要性を検討した。ペット介護班は獣医療やしつけ、リハビリテーションを通した飼い主の経験についてデータ収集を進め分析に着手した。 なお、海外調査の結果、日本の現状への関心が高く見られたため海外への情報提供の必要性が明らかとなった。このため、都市部の高齢夫婦間介護の研究結果を英語に翻訳しホームページに掲載すべく、年度内に作業をほぼ終了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
個別テーマの分析にばらつきが生じたため、その比較分析から一定の一般化可能性をもつフォーマルな理論の検討に着手できなかった。ホームページは開設したが、ケアラーのサポートに関する具体的な提案を載せるまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
予定より遅れている個別テーマ班の作業を進めその結果を順次ホームページへの掲載を進めていく。また、全体の理論的まとめ、具体的なサポートモデルもホームページに掲載していく。平成24年度が最終年度となるため、これらの作業を前半期に集中する。
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