研究概要 |
本年度は、ソーシャルワークの2つの系からなる実践分析モデル、「PDAモデル(Polyhedral-Diversified Anal-ytical Model)」を帰納法的に抽出・構成した7次元統合体に基づくモデル案のソーシャルワーカーによる実験及び適用(6名、15実践事例)の2段階を経て決定することができた。適用結果からは、多様な実践領域や異なるレベルの実践(ミクロ~マクロ)の分析や自らの実践を全体的、客観的な把握を可能にするという意見が寄せられた。同時に申請者らの17-19年度収集事例の約80実践事例の本モデル適用においても同様な結果を得た。7次元の実践分析モデルの最終的な構成は、2系列、大項目、中項目、小項目とした。項目数は、1.価値(第一系列中項目数8:小項目数34、第二系列評価項目数8)で、以下の各次元では項目数の数字のみを挙げる。2.視点・対象認識(3:12,3)、3.機能・役割(10:41,3)4.方法(7:29,3)、5.場と設定(3:9,2)、6.時間(3:17,2)、7.技能(9:26,4)である。項目の整序にはSPSSソフトのテキストマイニングでチェックし、検討するという過程を試みた。第二系列では、ソーシャルワークのソーシャルワーカーによる実践が7次元による同時並列的事象行為とする着想から、特に、クリティカル思考を反映する表現を試みた。これに総合評価欄を設けた。本モデルはほとんどの実践領域及び実践レベルをカバーして「実践分析モデル」といえる構成と内容にほぼ達している。ただ、小項目に付随する下位語群の整理・検討を残している。アドミニストレーション系分析項目についても対象事例数を増やし再整序を図るとともに、第二系列のクリティカル思考を反映したより詳細な分析項目を強化することで、また、モデル学習教材の開発も汎用性を高め、本モデルの科学的妥当性は高まるとみる。
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