本年度の研究成果 本年度は当初の計画通り、情報コミュニケーション支援用アプリケーションソフトウェアの韓国語版を開発した。同ソフトを韓国の聴覚障害学生支援に活用するため、韓国国立再活大学校に在籍する聴覚障害学生及び器械速記者を本学に招き、運用実験を実施した。その結果、韓国語キーボード及び速記機器とのインターフェースには問題がないことが証明されたことは大きな成果であった。かつ両国の学生支援の考え方の相違も明らかになった。具体的には、教員のすべての音声を速記方式により障害学生に伝えることを原則とする韓国と、支援者が要約入力して障害学生に伝える方法を一般的とする日本との相違である。 こうした支援原則の相違を踏まえた上で、科研費研究のテーマである、日韓の障害学生、技術者、支援者が活用可能なアプリケーションソフトウェアの開発環境の整備を実施した。すなわち、開発に際して、より汎用性を有する記述言語「C言語」への翻訳である。同作業は現在も進行中である。 また、アプリケーションソフトのダウンロート、アップロードを実現するサイト及びサーバーを設置した。なお、実際の運用は次年度の事業となる。 また、韓国語以外の言語圏で活用可能なプロトタイプの制作についても、韓国版が完成したことから、次年度への継続が期待できる。 一方、韓国語版の制作を優先させ、種々のケースを想定しプログラミングに時間をかけたため、中国語版については次年度以降の計画に組み込むこととした。具体的には、開発した中国版ソフトを中国製パソコン用にインストールし、北京連合大学特殊教育学院、長春大学等の教育機関において障害学生の情報コミュニケーション支援実験を実施する。
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