研究課題
研究目的である食品リスク情報への消費者態度に関する実験社会心理学的解明に関連して、年次計画に従い、H21年度は食品情報に対する消費者の潜在的態度の解明に取り組んだ。まず、食品情報の提示法が食品評価に及ぼす効果について実験的に検討した。その結果、消費者自身が能動的に情報検索した場合には、その情報に対する理解が促進され、商品評価にその情報価が反映されやすいことが示された。これらの結果は、非意識的な情報関与が食品評価に影響を及ぼすことを示唆するものである。この研究成果を英文論文にまとめ、食の社会心理学研究を扱う国際誌Appetiteに現在投稿中である。次に、消費者の食品に対する態度の計測技法として、潜在的態度測定法の1つである潜在的連合テストの有効性を実験的に検討した。その結果、この技術が顕在的態度計測法(質問紙)と比較して矛盾がなく、かつ高精度に消費者態度を計測できることを明らかにした。この研究成果を英文論文にまとめ、現在国際誌Food Quality and Preferenceに投稿中である。さらに、食品関連態度計測における潜在的態度測定法の有効性について、英文図書を1件分担執筆し、これが受理された。また、食品リスクコミュニケーションのツールとして、オーディエンス・レスポンス・システム(ARS)が有効であることを実験的に明らかにし、学会発表にて成果公表を行った。以上の研究成果より、本研究の基盤となる食品リスク情報に対する消費者態度の計測技術について充分な精査が行われたといえる。H22年度は、情報提示法が消費者のリスク情報理解・評価に及ぼす影響について更なる検討を行う予定である。
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FOOMA技術ジャーナル 6
ページ: 43-49
Appetite 54
ページ: 363-368