研究課題
食品リスク情報への消費者態度に関する実験社会心理学的解明に関連して、H22年度は食品情報の消費者理解・評価を規定する要因についての検討、および食品に対するステレオタイプの変容についての基礎的検討を行った。食品情報の消費者理解・評価を規定する要因については、まず、食品に記載・付随する情報の内容に関する消費者態度計測を行った。食品パッケージ情報や食品リスクに関する解説情報を題材とした複数の実験を実施し、主として原産地や安全性に関する情報が消費者に重視されることが明らかとなった。次に、情報の効果的な提示方法に関する研究を実施した。カーボン・フットプリント表示を例とした研究により、消費者が情報取得に関与するような情報提示法において、当該情報に対する正しい理解が高まることを見出した。なお、これらの食品情報に関する研究成果は今年度2件の査読付欧文論文として公表している。食品に対するステレオタイプの変容に関しては、食器デザインのジェンダーイメージが食品のジェンダーステレオタイプに影響を及ぼすことを、意味プライミング課題により明らかにした。このことは、食品のステレオタイプが食品名のような概念的側面によってのみ決まるものではなく、食品の視覚的イメージによっても規定されていること、および食器や盛付け、調理といった視覚的な工夫により食品のステレオタイプがある程度変容可能であることを示唆するものであり、特定食品に対する消費者の偏った認知の解消などにも応用できる知見である。本成果は日本心理学会第74回大会で発表するとともに、現在欧文論文を執筆中である。これら本研究課題の現在までの実績は国内外から高く評価されており、食のステレオタイプ、消費者行動に関する概説執筆の依頼を国内外から受けている。その成果として日本官能評価学会誌の総説執筆、およびNova Science Publisherから出版される『Psychology of Stereotype』に「Stereotypes toward food and eating behavior」という概説を執筆した。
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