研究課題/領域番号 |
21330153
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大神 英裕 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 名誉教授 (20020141)
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研究分担者 |
中村 知靖 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (30251614)
山下 洋 九州大学, 大学病院, 特任講師 (20253403)
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キーワード | 社会的認知 / 発達障害 / コホート研究 / 地域支援 |
研究概要 |
本研究は、平成11年から福岡県糸島地区の出生児全員(約1000人/年)を対象に10年間に亘って乳幼児期から社会的認知の発達過程を縦断的に追跡調査を行っているコホート研究の一環である. このコホート研究(perspective survey)により共同注意を軸とした社会的認知の定型発達軌跡の特徴が明確にたった。同時に、発達障害の医学的確定診断後の後ろ向きコホート調査(retorospective survey)により1歳半における自閉症の初期兆候がさらに明確になった。大規模標本を対象にした分析結果でも、生後18カ月で、叙述の指差しの欠如、応答の指差しの欠如、他者の苦痛への反応の欠如、有意味語の欠如、呼称(絵本)の欠如が重なり、かつ伝え歩き以上の運動能力がある場合は自閉症と診断される確率は極めて高いことが再確認された。この結果は、全国で実施されている1歳半乳幼児健診の問診票にこれらの項目が取り入れられる必要があることを示唆している。 また、発達障害と診断されたケースで、3歳もしくは7歳までに共同注意が獲得されないと極めて重篤なコミュニケーション障害に帰結することも実証された。 早期に発見された発達障害児に生活モデル型の発達支援を継続したところ蓍しい改善を示す事例と改善が少ない事例など個人差が大きく、それが障害特性によるものか、支援技法の適切性によるものかはまだよくわからない。 こうした多様な障害児に対し、就学前に教育・福祉の連携による就学移行支援キャンプを実施した。この支援活動では当事者を中心に、医師・保健師・保育士・心理士・言語聴覚士・理学療法士・小学校教師・特別支援学校教師・行政関係者など地域の多職種が参加し、地域総がかりの発達支援を実現したことは全国的にも極めて意義あるモデルとして評価されている。
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