研究概要 |
目的:本研究は,近年急増しているFourth Age(第4年代)と呼ばれる85歳以上の高齢者を対象に縦断調査を行い,(1)Fourth Ageの心理機能,認知機能,身体機能,医学的機能,社会関係の機能などの加齢変化を総合的に明らかするとともに,(2)Third Age(第3年代)までとは異なり,一段と認知機能や身体機能の低下,疾病や障害の増加が予想される80代後半以降の超高齢期においてwell-beingがいかに加齢変化するかをモラール,生活満足度,精神的健康度,抑うつ傾向などの観点から明らかにし,(3)超高齢期においてwell-beingが維持・安定するための要因を解明することを目的としている. 方法:初年度の今回は,本研究グループが2008年3月に実施した超高齢者研究の調査協力者663名を対象に,心理機能,認知機能,身体機能,医学的機能,社会関係,環境(機器類の使用等)などに関する調査を,自宅での訪問面接と一部留置き法を併用して実施した. 結果:(1)1年前のデータと比較すると,身体機能,認知機能に低下が示された.(2)年齢群の比較からは身体機能,認知機能,ネットワークの数では年齢群があがるにつれて低下が示され,サポートの受け取りは増加し,well-beingには年齢差は認められなかった.(3)well-beingの維持に関わる変数には男女で相違があり,女性ではサポートの提供,コンパニオンシップ,自己効力感,主観的健康感との関わりが示された,男性では家族からのサポート,同居家族の有無,主観的健康感との関わりが示された.また男女ともに,身体機能,認知機能との関連性は示されなかった.次年度は再度パネル調査を実施し,これまでのデータとあわせて,最終年度には加齢にともなう個人内変化と諸変数の加齢変化を個人内要因と加齢要因から分析・検討する予定である.
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